「もし中国が攻めてきたら……」:台湾が世論調査の結果を公表
台湾国防部のシンクタンク、国防安全研究院は、国民約1,200人を対象に世論調査を行い、その結果を公表した。それによると、回答者の67%以上が「中国が台湾に攻めてきた場合に反撃する」と回答したという。ロイター通信やドイツの国際放送ドイチェ・ベレなどがこのニュースを報じている。
その一方で、回答者の23%が、「中国が攻撃をしてきても反撃しない」と答えている。
台湾の国防安全研究院が9月に行ったこの世論調査の結果は、台湾における記念日のひとつである10月10日の中華民国国慶日(国家の日)の前日に発表された。
中国と台湾の間ではここ数年、かつてないほど緊張が高まっており、日本の報道機関でも「台湾有事」という言葉が時折使用されるほどだ。中国の国家主席である習近平は、台湾に対する支配を回復することが中国にとっての優先事項の一つであると公言してはばからない。
台湾では2024年5月の総選挙で、台湾の自治権維持を主張する頼清徳が新総統に選ばれている。同氏は中国が「台湾独立派」として警戒している人物だ。
ただし、この世論調査では、今後5年間のうちに中国が台湾を侵攻する可能性については「低い・非常に低い」と回答した人が全体の61%を占めた。
国防安全研究院のリサーチャーであるクリスティーナ・チェンはこの回答結果について、「多くの人々は中国の領土的野心が台湾への攻撃という形で現れるとは考えていない」とロイター通信に対してコメントしている。
ロイター通信が指摘するには、この世論調査の結果はCIAの予測とは対照的である。CIAは、中国が軍隊増強に取り組んでおり、台湾侵攻の準備は2027年までに整えられると見ているのだ。
世論調査に戻ると、中国が台湾を攻撃した場合、米国政府による「間接的な」支援(食料や医療品、兵器などの提供)をあてにできると考える人が全体の74%を占めた。しかし、米軍が部隊を派遣して事態に介入するだろうという回答は全体の52%にとどまった。
台湾軍の自衛能力についても、人々の意見は分かれているようだ。およそ半数が自衛能力はあると答え、およそ半数が自衛能力はないと答えている。また、回答者の64%が中国の領土的野心は深刻な脅威であると答えている。
しかし、アンケートの集計をとる間にも世論は絶えず変化していく。つい先日の10月14日には、中国軍が台湾を包囲する形で大規模な軍事演習を実施した。このことも台湾世論に影響を与えないではおかないだろう。