プーチン大統領の知られざる長女に対するインタビュー:「人命第一」発言
プーチン大統領の長女、マリヤ・ボロンツォワがめずしくメディアの前に姿を現した。彼女はインタビューに応じ、ロシアは人間中心の社会だと主張したようだ。
インタビューそのものは2023年12月16日に行われていたというが、『モスクワ・タイムズ』紙とロシアのニュースサイト「アゲントストヴォ」がその事実を報じたのは今年2月になってからのことだ。
独紙『デア・シュピーゲル』によれば、モスクワ市の医療機関「Medtech.moscow」のインタビューに応じたボロンツォワは、人命こそもっとも大切なものだとコメントしたという。
プーチン大統領の娘が思いがけずこのような発言をしたことで、波紋は世界中に拡大。
ただし、プーチン大統領はマリヤ・ボロンツォワと妹のカテリーナ・チホノワが自分の娘であると公式に認めたことはない。また、クレムリンは大統領の私生活について口を閉ざしている。
人命第一と主張したボロンツォワだが、インタビューの中でロシアによるウクライナ侵攻や父親の政策について言及することはなかった。無論、その姿勢はウクライナのメディアを苛立たせるものだ。
また、ボロンツォワは自身の専門である医学の進歩について長々と語った後、文学や音楽、スポーツに対する興味を明かしたとのこと。
言うまでもなく、ボロンツォワがプーチン大統領との関係に触れることはなかった。
マリヤ・ボロンツォワと妹のカテリーナ・チホノワは、ウクライナ侵攻に対抗して西側諸国が発動した制裁措置の対象者リストに名を連ねている。
これを受けて2人が西側諸国に保有していた資産は凍結されてしまった。しかし、それでもプーチン大統領は、2人が自分の娘であることを認めるそぶりを見せていない。
2016年、ロシアの独立系メディア「The New Times」はボロンツォワの仕事やライフスタイルに関する詳細な記事を掲載、かつてガスプロム役員だったこともあるオランダ人のジョリット・ファッセンと結婚していると報じた。
その後、2022年にはボロンツォワの離婚が判明し、プーチン大統領一家に関する憶測が再燃。
ボロンツォワは生物学および医学の研究でめざましい成果を挙げたとされ、現在はロシア保健省傘下の内分泌研究所に勤めているようだ。
また、2019年にはロシア人のゲノム研究を目的とする企業「Nomeko」を設立。遺伝子による病気のリスクを突き止め、治療法を模索するとしている。
いずれにせよ、ボロンツォワが珍しくインタビューに応じたことは、プーチン大統領の動向に関する注目度が高いロシア国外でも大きく取り上げられることとなった。プーチン大統領が娘をはじめ、私生活をひた隠しにしているとあってはなおさらだ。
ボロンツォワのインタビューはロシアのSNS「VKontakte」で公開され、およそ22万5,000回視聴されたという。一方、YouTubeでの再生回数は数千回に留まり、すでに見当たらなくなっているとのこと。