「反転攻勢の計画は事前にロシアに漏れていた」:ゼレンスキー大統領がインタビューで認める
2023年にウクライナが行った反転攻勢。西側諸国はこれが成功することを期待していたが、結局、大きな成果を挙げることはできなかった。ウクライナのゼレンスキー大統領はこれについて、ロシア側に反転攻勢の計画が漏れてしまっていた可能性に言及した。
ニュースサイト「ビジネスインサイダー」によれば、著名なドイツ人ジャーナリスト、パウル・ロンツハイマー氏によるインタビューに応じたゼレンスキー大統領は昨夏の反転攻勢を振り返り、「ロシアは我々がどこを攻撃するつもりか知っていたようです」と発言したという。
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ゼレンスキー大統領はさらに、「ロシアはどのようにしてその情報を手に入れたのでしょう? 私にはわかりません。しかし、歴史が教えてくれるはずです」と続けたが、同大統領は以前にも、ロシアがウクライナの反転攻勢計画を事前に把握していたと主張したことがある。
『ウラインスカ・プラウダ』紙によれば、ゼレンスキー大統領は2月に行われた記者会見の場で、ロシアはウクライナ軍がどこを攻撃しようとしているのか把握していたと初めて明かしたが、詳細についてはコメントを控えたとのこと。
ゼレンスキー大統領いわく:「昨年秋に我が軍が取り組んだ反転攻勢の計画は、それが開始される前から、クレムリンのテーブルの上にあったと認めざるを得ません」さらに、その他のウクライナ要人たちも同様の発言を行っている。
たとえば、ウクライナ国防省情報総局のキリロ・ブダノフ局長は今年2月、CBC放送に対し、ゼレンスキー大統領が記者会見で行った説明を追認。
情報漏洩について尋ねられたブダノフ局長は「大統領のコメント以上のことは言えません」としつつ、「計画がロシア連邦に知られてしまったことを示す証拠はありました」とした。
同局長はさらに「これは深刻な問題であり、対応を行っているところです」と述べたが、その詳細については今のところ公表されていない。また、ウクライナで情報漏洩の問題がどこまで深刻化しているのかも未知数だ。
ゼレンスキー大統領はパウル・ロンツハイマー氏が行ったインタビューの中で、ロシアによるスパイ活動がウクライナ国内でどこまで広がっているのかについて明かしていない。ただし、反転攻勢は完全な失敗というわけではなく、一定の成功があったと強調。
同大統領いわく:「まず、我が国は負けませんでした。とはいえ、昨年、地上で試みた反転攻勢があまり成功しなかったのは事実です。期待した成果を挙げることはできなかったのです」そして、その原因を列挙する。
ウクルインフォルム通信が公開したゼレンスキー大統領の発言記録によれば、反転攻勢に投入された部隊の人員不足が大きな課題となったようだ。一方で、黒海沿岸部ではウクライナを取り巻く状況が改善しているとのこと。
画像:Telegram @DIUkraine
ゼレンスキー大統領いわく:「しかし、朗報もあります。黒海で我々が行った作戦です。これは成功し、我が国は新たな穀物輸送路を確保し、ロシアの戦艦を多数破壊したのです」
今回のインタビューは、ウクライナが2024年に実行に移すであろう計画の一端を窺わせるものとなった。たとえば、ゼレンスキー政権は今年、クリミア大橋の破壊やウクライナ軍の動員拡大を図るものと見られている。
ゼレンスキー氏はまた、ドナルド・トランプ前大統領の返り咲きを視野に、ロシアとの和平を実現するためウクライナに領土割譲の圧力をかけると周囲に語ったという『ワシントン・ポスト』紙の記事についてもコメントした。
ゼレンスキー大統領いわく:「単に我が国に領土の放棄を求めることが(トランプ大統領の)和平案だというのならば、それはあまりにも原始的です。しかし、トランプ前大統領が戦争を早期終結させる方法やアプローチについて真剣に考えているというのなら、私は喜んで耳を傾けるつもりです」
同大統領はさらに、「とはいえ、議論を尽くさなくてはならないでしょう。というのも、机上の空論ではなく、現実的なアイデアが求められるからです。人々の命に関わる問題であり、冗談で済ませたり、リスクを冒したりするわけには行きません。我々はプーチン大統領と対峙しているのですから」と続けた。
ゼレンスキー大統領はプーチン大統領について、たびたび自分自身の発言と食い違う行動に出ており、信用できないと批判。たとえ和平合意に至ったとしても、プーチン大統領はそれを遵守するつもりがあるのか疑問を呈している。