軍上層部に反乱を起こすロシア兵たち:「監獄行きでもかまわない」
ウクライナでの戦闘に送り込まれたロシア動員兵の間に脱走や反乱が絶えない。今年前半には、一部の兵士たちが指揮官に銃口を向けて反乱を起こすとする声明を撮影、ビデオを公開した。
あるロシア兵士のグループは3月7日に最初のビデオ(約3分)を公開し、不本意にも前線部隊に送り込まれた経緯を説明、ウラジーミル・プーチン大統領のサポートを求めた。
この嘆願について報じているのは、独立系ニュース機関「Ostorozhno Novosti」である。同メディアの記事訳によれば、ビデオの中である兵士は「人々は不毛に命を落としている」と語っている。この動画はテレグラムで公開された。
写真:Telegram @ostorozhno_novosti_bot
Ostorozhno Novostiによると、ビデオの兵士たちは、もともとは地方守備の人員として訓練を受け、カリーニングラード、ムルマンスク、アルハンゲリスクに配置されていたという。
しかしある時点から、この兵士たちは地方守備の任を解かれ、ドネツク人民共和国指揮下の前線部隊になってしまった。
Ostorozhno Novostiによると、兵士たちは戦闘任務の遂行を拒んでいるのではないという。彼らが望んでいるのは、「たんに頭数合わせではなく、兵士としての誇りを持って」軍務に服することである。
ニュースサイト『デイリー・ビースト』の記者アリソン・クインはこの記事を取り上げ、怒れる兵士たちによって「ロシア軍のお偉方の面目は丸潰れである、なぜなら、兵士たちは戦場における指揮官の無策ぶりを語っているのだから」と書いた。
アリソン・クインの訳によると、兵士の一人は「これはまともな戦い方ではない」と語っている。
不本意な動員を受けた兵士たちの物語はそれで終わりではなかった。異例の追跡記事のなかで、Ostorozhno Nobostiは第二のビデオを入手したと述べ、プーチン大統領への最初の嘆願にひきつづいて行われた怒れる兵士たちの第二の声明を公開した。
「我々を刑務所に送り込めばいいでしょう、刑期は 5年、7年、あるいは10年でしょうか? こちらは何年だってかまいませんが」と、ある兵士は口にした。部隊指揮官が兵士たちに、ウクライナ西部前線付近の要塞に急襲をかけるという命令を実行するようせまった際の発言である。
写真:Telegram @ostorozhno_novosti_bot
『デイリー・ビースト』の翻訳によると、「こんな嵐の中に突っ込んでいく人はいません。刑務所の方がまだましです」と、ある兵士は語ったという。
「誰かが我々をだまそうとして、君たちが戦地に赴くことはないからと口では言いながら、その舌の根も乾かぬうちに我々を前線に放り込んでいるとしたら、それはク○野郎の所業です。許されることではありません。とことん楯突くまでです」と、ある兵士は語り、指揮官に銃口を向ける意志をあらわにした。
「はっきりいって、すでに準備はできています」と兵士は続け、もし急襲が無理強いされたときには反逆する準備があるかどうか、グループ全体に問いかけた。
写真:Telegram @ostorozhno_novosti_bot
『デイリー・ビースト』の翻訳記事によると、全員が声をあわせて「もちろんだ」と答え、反逆の意志を確かめ合ったという。
怒れる兵士たちのリーダー格と目される兵士はつづけて、部下の兵士たちは退却するつもりだから、指揮官は一人きりで敵要塞を攻めればいい、と語っている。
「我々は怒り心頭に発しています。戦友たちが死んでいくのをこの目で見てきました」と、リーダー格の兵士は言う。「歩くなり、タクシーをつかまえるなりして、こんなところからはおさらばです。指揮官、あとは自分で戦ってください!」
追加のビデオとともに掲載されたOstorozhno Novostiの記述によると、兵士たちは最終的に、自分たちを地方守備の任務に戻してくれるよう要求し、4日間前線で寝ずに過ごした後の休憩の許可を求めた。
この一件の消息について、3月8日にテレグラムに投稿された第二のビデオを最後に続報はなく、怒れる兵士たちのその後については明らかになっていない。