ドイツ機密文書に記された「第三次世界大戦」へのシナリオ: 2025年にロシアとNATOの全面対決を想定

大戦へのシナリオ
ドイツ軍の機密文書が流出
「同盟防衛2025」
春の攻勢
ウクライナに最大20万人の動員兵が投入される
バルト三国にサイバー攻撃
バルト三国への侵攻を準備
「Zapad 2024」
カリーニングラードにも派兵
偽旗作戦を実施
スワウキ回廊を掌握
米大統領戦直後の隙をつく
国連で西側諸国を非難
バルト三国に侵攻
ドイツも対抗
ロシア軍と対峙することに
シナリオのひとつに過ぎない
常にあらゆる可能性を検討
スウェーデンでも警戒感が高まる
「去年の星占い」?
ロシア政府はノーコメント……ただし『ビルト』紙には苦言を呈する
大戦へのシナリオ

近代史を振り返れば、1945年に第二次世界大戦が終結して以来、世界規模の武力衝突は発生していない。だが、その平和がいつまでも続く保証はどこにもない。

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ドイツ軍の機密文書が流出

このほど独タブロイド紙『ビルト』がドイツ軍の機密文書を暴露し、ロシアがNATO諸国との全面戦争に向けて備えている、という可能性が検討されていたのだ。

「同盟防衛2025」

流出した文書ではいくつかのシナリオが検討されているのだが、その中でもとりわけ憂慮すべきなのが「同盟防衛2025」と題されたものだ。

春の攻勢

米タブロイド紙『ニューヨーク・ポスト』によると、このシナリオはまず西側諸国によるウクライナへの財政支援が滞っていることを好機と見たロシア軍が2024年春に大規模な攻勢に出るところから始まる。

ウクライナに最大20万人の動員兵が投入される

そして、2024年2月にはロシアが最大20万人の動員兵をウクライナに送り込むことが可能となる。

バルト三国にサイバー攻撃

このシナリオではその際ロシアが攻撃の目標とするのはウクライナだけにとどまらないとされ、2024年7月にロシアがエストニア、ラトビア、リトアニアに「強烈なサイバー攻撃」を仕掛けると想定されている。

バルト三国への侵攻を準備

ロシアは同時に、さらなる行動に向けて自国民の間にバルト三国に対する反感を醸成するのだという。

「Zapad 2024」

そのシナリオでは、ロシアは「Zapad 2024」という名の軍事演習を装い、ベラルーシ西端に5万人の兵を集めるとされている。

カリーニングラードにも派兵

さらに、共にNATO構成国であるポーランドとリトアニアに挟まれたロシアの飛地、カリーニングラードにも兵が派遣される。

画像:anton_shakirov / Unsplash

偽旗作戦を実施

そしてロシアが偽旗作戦を実行、NATOに攻撃されたと偽ってポーランドとリトアニアに攻め込むというシナリオが描かれている。

スワウキ回廊を掌握

その結果起こるのが、ロシアによるスワウキ回廊の掌握だ。同回廊はポーランドとリトアニアの間に存在し、ベラルーシとカリーニングラードを隔てる戦略的に重要な地域となっている。

関連記事:カリーニングラードの地政学 ヨーロッパに置かれたロシアの飛び地の歴史と現在

米大統領戦直後の隙をつく

英紙『インデペンデント』が強調するように、流出文書では2024年米大統領戦直後の移行期間という隙をついて、ロシア政府がバルト海沿岸地域で動く可能性があると指摘されている。

国連で西側諸国を非難

そして2025年1月、国連安全保障理事会の会合後にプーチン大統領が、西側諸国が同大統領を失脚させようとしていると非難すると仮定。

バルト三国に侵攻

こうした口実の元にプーチン大統領はベラルーシに兵を集め、2025年3月にはバルト海沿岸地域に攻め入ることになる。

ドイツも対抗

ベラルーシに集まった7万のロシア兵に対抗するために、3万のドイツ兵が展開される。

ロシア軍と対峙することに

ロシアによる侵攻の可能性を憂慮したNATO諸国は、こうしてロシア軍と直接対峙する事態を迎えることになる。

シナリオのひとつに過ぎない

もちろん、このシナリオは単なる仮想上のものであり、ドイツ軍やNATOが検討している数多のシナリオのひとつに過ぎないということには留意する必要がある。

常にあらゆる可能性を検討

『ニューヨーク・ポスト』紙によると、独紙『ビルト』はドイツ連邦国防省にコンタクトを取り、次のような返答を得たという:「非常に可能性の低いものまで含めてあらゆるシナリオを検討するのは、特に訓練課程においては日常的な軍務の一環である」

スウェーデンでも警戒感が高まる

とはいえ、戦争の可能性を認識しているのはドイツだけではない。スウェーデンのボーリン民間防衛相は「スウェーデンで戦争が起こる恐れがある」と警告、国民を恐れさせるのは本意ではないが、あらゆる可能性に備えるようにと述べている。

「去年の星占い」?

一方、ロシア国営のタス通信は、ロシアの外務省の担当者が該当の暴露文書について、その重要性は「去年の星占い」と同レベルだとコメントしたと報道。

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ロシア政府はノーコメント……ただし『ビルト』紙には苦言を呈する

ロシア政府のペスコフ報道官は次のようにコメントしている:「『ビルト』紙の報道についてはノーコメントとする。同紙は昨今、フェイクニュースやデマばかり報道し自ら品位を貶めている」

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