ウクライナ侵攻開始以来、ロシア軍が被った物的損失合計とは(2024年6月時点)
2022年にウクライナ侵攻が始まってから、ロシア軍はどれだけの物的損失を出しているのだろう? その数量についてはウクライナ軍参謀本部も随時発信してはいるが、それ以外に算出を行っている国際的なソースがある。
実のところインターネット上では、この戦争で破壊された戦車などの残骸を撮影した写真や動画が数多く出回っている。
したがって理論的には、それらを収集・分析し、映像の真偽を見定め、そこに映っている戦車や火砲などの装備品を特定するといった作業を積み重ねることにより、ロシア軍がどれだけのものを失ったのかある程度は知ることができるのだ。
そのような作業を体系的に進めているのが、「Oryx」というオランダのオープン・ソース・インテリジェンス・グループである。彼らはウェブサイトを運営しており、作業の成果をそこで随時更新している。
前述のとおり、「Oryx」はインターネットなどを介して写真・映像を収集し、ウクライナ軍・ロシア軍の双方が被っている物的損失を数えている。これまでのカウントによると、ロシア軍の装備品全体の損失数は、16,089点に及ぶ。うち、撃破されたものは11,537点、撃破は免れたものの損傷を受けたのは730点、戦場に放棄されたのは912点、敵軍に鹵獲されたのは2,910点となっている(2024年6月1日現在)。
「Oryx」はそうした集計について、「撃破された兵器類の総数は、ここに記録してあるものよりもずっと多い」と述べている。というのも、「Oryx」がカウントするのは写真や映像で実証されたものだけだからだ。さて、ロシア軍はどれだけの損失を出しているのだろう?
戦車(損失数:3,077、うち、撃破:2,065、損傷:69、放棄:65、鹵獲:134)
装甲戦闘車両(損失数:1,364、うち、撃破:964、損傷:35、放棄:96、鹵獲:269)
歩兵戦闘車(損失数:4,072、うち、撃破:2,980、損傷:146、放棄:330、鹵獲:616)
装甲兵員輸送車(損失数:442、うち、撃破305、損傷:18、放棄:27、鹵獲:92)
MRAP:耐地雷・伏撃防護車両(損失数:56、うち、撃破:39、損傷:5、放棄:1、鹵獲:11)
歩兵機動車(損失数:248、うち、撃破:177、損傷:14、放棄:4、鹵獲:53)
指揮通信車両等(損失数:278、うち、撃破:187、損傷:4、放棄:2、鹵獲:85)
工兵車と工兵器材(損失数:483、うち、撃破:271、損傷:19、放棄:42、鹵獲:151)
写真:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
無人地上車両(損失数:3、うち、撃破:3)
自走式対戦車ミサイルシステム(損失数:43、撃破:18、損傷:1、放棄:4、鹵獲:20)
砲兵支援車両とその器材(損失数:119、うち、撃破:64、放棄:1、鹵獲:54)
写真:Wiki Commons By Alf van Beem, Own Work, Public Domain
牽引式火砲(損失数:369、うち、撃破:218、損傷:51、放棄:5、鹵獲:95)
自走式火砲(損失数:747、うち、撃破:592、損傷:42、放棄:5、鹵獲:108)
多連装ロケット砲(損失数:379、うち、撃破:289、損傷:34、放棄:2、鹵獲:54)
対空砲(損失数:51、うち、撃破:32、損傷:1、鹵獲:18)
写真:Wiki Commons By Lvova Anastasiya, Own Work, CC BY-SA 3.0
自走式対空砲(損失数:26、うち、撃破:14、損傷:2、放棄:2、鹵獲:8)
地対空ミサイルシステム(損失数:240、うち、撃破:176、損傷:36、放棄:4、鹵獲:24)
レーダー(損失数:72、うち、撃破:44、損傷:18、鹵獲:10)
妨害電波発信装置と電子戦システム(損失数:81、うち、撃破:60、損傷:12、鹵獲:9)
Photo Credit: Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0
航空機(損失数:114、うち、撃破:105、損傷:9)
ヘリコプター(損失数:137、うち、撃破:105、損傷:30、鹵獲:2)
無人攻撃機(損失数:15、撃破:11、損傷:1、鹵獲:3)
無人偵察機(損失数:366、撃破:224、鹵獲:142)
艦艇と潜水艦(損失数:25、撃破:18、損傷:7)
トラック、作業車両、ジープ(損失数:3,282、うち、撃破:2,576、損傷:89、放棄:48、鹵獲:569)