ついに始まったウクライナの反転攻勢:ロシア側の主張する戦果には疑問も

ウクライナの反転攻勢が始まる
ショイグ国防相がコメント
ウクライナ軍を撃退?
ウクライナが攻撃を開始
目標は達成されず
ウクライナ軍に多くの損害を出す
情報源は不明
誇張された戦果
公の場への露出が急増
戦況をコントロールしているとアピール
イメージ戦略
ワグネルとの確執
準軍事組織への締め付け策を発表
国防省への批判が高まる
ワグネルは要求を拒否
ワグネル以外にも問題が
進退に懸念が
ウクライナの反転攻勢が始まる

満を持して始まったウクライナの反転攻勢。ロシアに占領された東部地域の奪還を目指しているものの、ロシアの高官は事態がウクライナの望んだようには進展していないと指摘している。

ショイグ国防相がコメント

ウクライナ軍が今回の攻勢で被っている損害についてロシアのセルゲイ・ショイグ国防相がコメントを出したのだが、その内容がいささか懸念を呼ぶものだったのだ。

ウクライナ軍を撃退?

6月6日にショイグ国防相がある声明を読み上げた。そこではロシア軍がウクライナ軍の攻勢を撃退したことが報告され、ウクライナ側の死傷者が3,700人にも上ったとも述べられたという。ロイター通信が報じている。

ウクライナが攻撃を開始

ロイター通信の報道によると、国防相は次のように述べたという:「ここ3日のあいだに、ウクライナ政府は前線の各地において以前から想定されていた攻勢を展開し始めている」

目標は達成されず

ショイグ国防相はこう続けている:「攻勢の試みは撃退され、敵の進撃は止められた。敵方の所期の目標は達成されず、一方的に重大な損害を被ることとなった」

ウクライナ軍に多くの損害を出す

ショイグ国防相の発表によれば、ロシア軍は3日間でウクライナ側に3715人の死傷者を出し、戦車52輌と装甲車両200輌も破壊したという。

情報源は不明

ただし、ロイター通信も指摘しているように、ロシアがどのようにしてウクライナ軍の死傷者を数え上げたのかは明らかでなく、ショイグ国防相がどうやって精確な情報を手にしたのかも定かでない。この点について、イギリス国防省がある見解を表明している。

誇張された戦果

英国防省が6月12日に出したウクライナ侵攻に関する日報では、ショイグ国防相は「ほぼ確実に」戦果を誇張していると述べられている。

公の場への露出が急増

イギリス国防省の分析によると、ショイグ国防相は6月6日から12日にかけて普段よりも公の場への露出が格段に増えており、ロシアでの存在感を増そうとしていた可能性が高いという。

戦況をコントロールしているとアピール

イギリス国防省の日報で示された見解によると、露出を増やした目的は自分が「戦況をコントロールできている」という印象を与えることだという。ショイグ国防相は最近姿を見せることが減っていたため、そのせいで出てきた不信感を払拭したいようだ。

イメージ戦略

イギリス国防省はこう分析している:「ショイグ国防相は政権内から公然と批判されつつあることを自覚しており、自分が戦局をコントロールできているというイメージを打ち出す必要を強く感じているようだ」

ワグネルとの確執

ショイグ国防相は今回のウクライナ侵攻が始まって以来、しばしば公の場から姿を消していた。しかも、たまに表舞台に立つのは軍事会社ワグネルの指導者エフゲニー・プリゴジンとの対立が深まった時だった。

準軍事組織への締め付け策を発表

6月12日、ショイグ国防相は数多い準軍事組織への締め付け強化策を発表。すべての組織は国防省と契約を結ぶよう要求した。

国防省への批判が高まる

『ニューズウィーク』誌のイザベル・ヴァン・ブルジェン記者によると、この要求はプリゴジンがロシア軍を批判したことを受けてのものだという。同記者によれば「プリゴジンは、国防省が意図的にワグネル戦闘員に弾薬や支援を与えないようにしたと批判していた」のだという。

ワグネルは要求を拒否

『ニューズウィーク』誌がプリゴジンのテレグラムへの投稿を伝えている:「ショイグから出された要求だが、あれは国防省に雇われている役人や軍人に宛てたものだ。ワグネルはショイグとはいかなる契約も結ばない」

ワグネル以外にも問題が

また、イギリス国防省の分析ではショイグ国防相がロシアの防衛産業に対して「努力を倍増」するよう要求し、西部軍管区からの予備車両の配備展開が遅いと同区の将校を批判していることも指摘している。

進退に懸念が

ショイグ国防相はプーチン大統領の強固な支持者と考えられているが、ロシア国内では彼に対する批判は日々強まっている。国防相という地位ももはやそう長くは保てないのかもしれない。

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