新種のウイルスまた?:インドの子供たちの間で流行する「トマトインフルエンザ」

インドで「トマトインフルエンザ」が拡大
82人の患者
発症すると……?
なぜトマトインフルエンザと呼ばれるのか?
重病ではない
鎮痛剤の使用
高い伝染性
合併症の可能性
難航した原因特定
新型コロナウイルス?サル痘?
ついに判明
手足口病
トマトインフルエンザ=手足口病?
コロナ後のウイルス感染症
既知のウイルスに異変?
研究施設による検査
大流行には至っていない
インドで「トマトインフルエンザ」が拡大

南インド、ケララ州で5月に確認された小児感染症「トマトインフルエンザ」。そして今タミル・ナードゥ州とオリッサでも広がりを見せているという。

82人の患者

『Lancet Respiratory Medicine』誌の記事によれば、これまでに5歳未満の子供たち82人に対してトマトインフルエンザの診断が下されたという。また、最初の症例は5月6日に報告されたのとこと。

 

発症すると……?

トマトインフルエンザの代表的な症状には高熱や関節痛、痛みを伴う赤い水疱などがある。

なぜトマトインフルエンザと呼ばれるのか?

発症するとトマト大の赤く痛みを伴う水疱ができることから、こう呼ばれている。

重病ではない

今のところ、重症化や死亡患者の報告はなされていない。トマトインフルエンザは軽症であることが多く、1 週間ほどで自然に治るとされている。

鎮痛剤の使用

治療をせずとも1週間ほどで治るとはいえ、強い痛みを伴うことがあるため、鎮痛剤の使用が推奨されている。

画像:Brett Jordan / Unsplash

高い伝染性

その他の小児感染症と同じく、トマトインフルエンザも非常に感染性が高い。排泄物や水疱液を介して感染する恐れがあるため、患者は発症してから5日間は保育施設や学校に行くべきではない

 

 

合併症の可能性

口内が傷ついてしまうと嚥下に困難が伴うため、小児患者では脱水症状が問題となることもある。また、ごく稀にウイルス性髄膜炎を併発することもあるという。しかし、これまでのところ、インドではこのような合併症は報告されていない。

 

難航した原因特定

子供たちの診察に当たった医師たちは、初め原因を特定することができなかったという。発熱や痛みを引き起す感染症は多数あるためだ。デング熱やチクングニア熱といった、蚊が媒介するウイルス性疾患の可能性も疑われていた。

新型コロナウイルス?サル痘?

さらに、発疹については新型コロナウイルスに対する小児特有の反応だろうと考えられたのだ。また、水疱の大きさからサル痘ではないか、という議論までなされたという。

 

ついに判明

しかし、ケララ州で休暇を過ごした英国の小児患者2人を検査したところ原因が判明。2人はコクサッキーA16 と呼ばれるウイルスに感染していたのだ。

手足口病

コクサッキーA16は、手のひらや足の裏、口内に水疱ができる「手足口病」の病原体として知られている。

 

トマトインフルエンザ=手足口病?

そのため、トマトインフルエンザは基本的に手足口病の1種だと考えられている。しかし、トマト大の水疱は手足口病の典型的な症状ではない。

 

コロナ後のウイルス感染症

既知のウイルス感染症が、新たな病名が付くほど異なる特徴を見せるという事例は、新型コロナウイルスの世界的流行以来、複数知られている。

 

既知のウイルスに異変?

研究者たちは『The Conversation』誌上で「新型コロナウイルスの世界的流行以来、ウイルスたちは奇妙な動きを示している」と述べている:「例えば、通常は冬に流行するウイルス感染症が2020年には夏に流行したり、これまでアフリカ以外ではごく少数の患者しか出さなかったサル痘が2022年には世界的に拡大したりしている」

 

 

研究施設による検査

トマトインフルエンザには複数の要因が関わっている可能性があり、研究施設によるより精密な検査が待たれる。

大流行には至っていない

とはいえ、5 月初旬以降に報告されたトマトインフルエンザの症例は100例未満に留まっており、大流行には至っていないようだ。

 

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