もし第三次世界大戦になったら:攻撃対象に言及するロシア下院議員
ロシア軍の元将軍で、現在はロシア連邦下院で議員を務めるアンドレイ・グルリョフ。彼によれば、ロシアは目下「大規模な戦争」に向けて態勢を整えているという。
6月末、国営放送「ロシア1」に出演したグルリョフ議員は、新たな世界大戦が勃発した場合、プーチン政権がどこを攻撃対象とするかについてコメントを行った。
画像:ロシア1
Sky News放送によると、ロシア連邦下院議員で防衛委員会メンバーも務めるグルリョフは、ロシアの飛び地カリーニングラード州を西側諸国が封鎖することで次の世界大戦が勃発する可能性があると警告している。
写真:NATO演習に参加するドイツ兵たち(2020年5月)
カリーニングラード州はNATO加盟国ポーランドとリトアニアの間に位置するロシアの飛び地で、バルト海に面している。つまり、ロシア本土との連絡や運輸に問題が生じやすいのだ。
写真:Aleksey Malinovski / Unsplash
専門家たちは、ロシアが本土とカリーニングラード州をつなぐ「スヴァルコフスキー回廊」の設置を企てる可能性について言及している。
『ザ・サン』紙によれば、グルリョフ議員はカリーニングラード州の状況についてロシア軍を包囲する罠だと主張。そして、NATO諸国がカリーニングラード州を封鎖した場合、対抗措置をとらざるを得ないとしている。
画像:ロシア1
グルリョフ議員によれば、まず行うべきは敵対国の衛星システムを無効化することだという。
『デイリー・メール』紙は、グルリョフ議員の「アメリカだろうとイギリスだろうと関係ない。NATOの一員だと見なすだけだ」という言葉を引用した。
グルリョフ議員はさらに、敵の迎撃ミサイルシステムの効果を「あらゆる場所で100%」削ぐ、と付け加えた。
「我々の第一攻撃目標はパリやワルシャワ、ベルリンではない」とロシア1放送に語るグルリョフ議員。いわく:「最初の攻撃はロンドンに対してなされるはずだ。世界を脅かしているのがアングロ・サクソン人であることは明白だ」
グルリョフ議員の主張によれば「重要拠点を破壊する作戦の一環として、西ヨーロッパは電力供給から遮断され身動きが取れなくなるだろう」とのこと。『ザ・サン』紙の指摘によれば、グルリョフ議員らロシアの強硬派は軟弱な欧州連合に実戦に耐えうる気概はないと考えているようだ。
食料と電力を絶たれたヨーロッパが米国の支援によってロシアと対峙し続けられるのか、欧州内で高まる不満を米国がいつまで抑え込めるのかについて、グルリョフ議員は疑問を呈している。
グルリョフ議員はまた、「これは大まかな計画であり、テレビで議論すべきでない部分については意図的に省いている」とした。
画像:ロシア1
また、別のテレビ番組では、ロシアが攻撃せざるを得ない国々としてポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニアを列挙した。
ただし、『デイリー・メール』紙も書いているとおり、グルリョフ議員は防衛委員会メンバーではあるものの、現役の軍人ではないことに留意する必要があるだろう。
しかし、プーチン大統領や政府高官との密接な関係のため、グルリョフ議員は米国による制裁の対象になっている。したがって、彼がどこまでプーチン政権の内情に通じているのか、あるいはロシア当局のプロパガンダを担っているのかについては謎が尽きない。