アフリカ東部、過去数十年で最悪の干ばつによる食糧危機へ:数百万人が飢餓に直面
欧米諸国がガス代の高騰、インフレ、ウクライナ戦争に気を取られている一方で、東アフリカは危機的な状況に陥っている。国連ニュースによると、エチオピア、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダンは過去数十年で最悪の干ばつに見舞われているという。
雨の少ない雨季(2022年3月~5月)の影響もあり、アフリカ東部一帯は記録的な乾燥状態にあるとリリーフウェブ(国際連合人道問題調整事務所が運営する人道支援情報を提供するWebサイト)は伝えている。
気象学者によると、記録的な暑さが降水量の低下と水不足に拍車をかけており、この傾向は今後も続く見込みだという。
国連の統計調査によると、ソマリアとエチオピア南部では気候危機により、100万人以上が避難を余儀なくされていることがわかった。
東アフリカでは雨不足により農作物が壊滅的なダメージを受け、食糧価格の高騰が深刻化している。
国連食糧農業機関(FAO)の食料安全保障・栄養分析ユニット(FSNAU)によると、ケニアとエチオピアでは360万頭以上の家畜が息絶えたと推測されている。
その中でも最も被害が大きいのはソマリアで、2021年半ば以降、家畜の1/3が死に絶えていると同団体は指摘している。
国連によると、ソマリアでは今後数か月間で700万人(同国の人口は約1,600万人)あまりが飢餓の危機に瀕するという。
世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関による新たな調査によると、今年はアフリカ東部の5,000万人以上が食糧不足に苦しんでいるそうだ。
国際救済委員会(IRC)によると、ソマリア、エチオピア、ケニアでは1,400万人以上が飢餓寸前であり、その約半数は子どもたちだという。
国際救済委員会は干ばつと食糧価格の上昇が続き、世界各国からの資金援助増額が期待できない場合、2022年9月には飢餓に苦しむ人々の数が2,000万人を超えると警告を鳴らしている。
東アフリカ各国を中心にして設立された政府間開発機構(IGAD)は、エチオピア、ケニア、ソマリア、南スーダン、スーダンにおける栄養失調と食糧不足の危機を警告するため、「IGAD加盟地域における食糧危機の報告書」を発表した。
報告書によると、もし待ち望んだ来雨が大地を潤しても、地域の復興には数カ月かかるという。
国際救済委員会は「壊滅的な犠牲者数」を出さずに済む唯一の手段は、人道支援の即時拡大しかないと指摘している。
国連食糧農業機関の東部アフリカ準地域コーディネーターを務めるチミンバ・デービッド・ピリ氏は、この地域が絶望的な状況にあると国連ニュースに語っている。
ピリ氏は以下のように述べている:
「4年連続で雨季に雨が降らず、少なくとも過去40年間に例のない気候変動の影響もあり、アフリカの角(インド洋と紅海に向かって、角状に突き出たアフリカ東部の呼称)全域における食糧安全保障の現状は悲惨な状況にある」
さらにピリ氏は早急に必要な支援についても語っている:
「これまで以上に、アフリカ東部が抱える食糧危機の根本的解決を目的とした長期的な地域復興の構築とともに、短期的な生活支援対策を実施しなければならない」
専門家によると、アフリカ東部の数年にわたる異常な干ばつは、気候変動とラ・ニーニャ現象(東太平洋の赤道付近で海水温が低下する現象のこと)が引き起こしているという。
国際連合世界食糧計画、東アフリカ地域ディレクターのマイケル・ダンフォード氏によると、「アフリカ東部の数百万人にも及ぶ飢餓の現状は、紛争と異常気象、経済ショック、生活コストの上昇、そしてウクライナ戦争による食糧とエネルギー価格の高騰により悪化している」という。
また、現状の危機に対処するだけでなく、将来の危機に備えることも大切だとダンフォード氏は述べている。
ダンフォード氏は、アフリカ東部の飢饉や干ばつについて「気候変動によりますます避けられない状況になる」と警笛を鳴らしている。