アメリカがウクライナに新型爆弾を供与:ゲームチェンジャーとなるか?
アメリカがウクライナ空軍に新型の空対地誘導爆弾を提供、侵略を続けるロシア軍に対する新たな攻撃手段として期待されている。
2月28日にアフリカで行われた空軍高官シンポジウムで、アメリカ空軍のジェームズ・ヘックラー大将が語ったところでは、最近、ウクライナ軍は精密爆撃が可能な新たな種類の弾薬を供給され、それによって攻撃可能な距離や能力に向上がみられるはずだという。
写真:Twitter @HQUSAFEAFAF
オンライン軍事メディア『The War Zone』によると、ヘックラー大将は次のように述べたという:「最近、われわれはある種の精密武器をウクライナに供給した。それは無誘導の爆弾よりも射程距離が長く、精確な攻撃が可能だ」
写真:Twitter @HQUSAFEAFAF
大将はさらにこうも続けた:「これはここ三週間というきわめて最近になって供給が可能になった武器だ」
『The War Zone』の記者が後にヘックラー大将に確認したところによると、ここで言及されていたのは統合直接攻撃弾(JDAM)と呼ばれる装置で、今回供与されたのはその長射程版、JDAM-ERだということだ。
写真:Twitter @ChuckPfarrer
『The War Zone』では次のように解説している:「JDAMは無誘導型の自由落下式爆弾を精密攻撃が可能な誘導弾に変える装置で、通常アメリカの爆弾Mk. 80シリーズに取り付けて用いられるが、他の同種の設計の兵器にも使用可能だ」
写真:Twitter @thewarzonewire
「JDAMは二つの部分からなる。一つは尾部で、GPSを利用した慣性誘導システム(INS)を含む。もう一つはストレーキ部で、爆弾の胴体に付けることで目標に向かって限定的ながら滑走することが可能になる」
写真:Twitter @NOELreports
『フォーブス』誌のデヴィッド・アックスによると、ウクライナに新たに供与されたJDAMを付けた爆弾はさまざまな用途に利用可能だという。だが、最大の利点はウクライナ空軍が新たな種類の作戦を展開可能になることだ。
写真:Twitter @KpsZSU
アックスはこう書いている:「JDAM-ERを大量に積んだウクライナの機体が低空飛行で前線へと駆けつけて、それを下から放り上げるようにして戦場に投下することが可能になる。ソフトボールのピッチャーがアンダースローでストライクを取るようなイメージだ」
写真:Twitter @DefenceU
アックスはさらに「そのようにJDAM-ERを投下することが、ウクライナ空軍に新たな作戦を可能にする」とも述べている。つまり、そうすることで爆弾の有効射程が伸びるからだ。
写真:Twitter @clemensvtmi
アックスによると、ウクライナ空軍は開戦当初から目標に対する攻撃能力という点で限定的な面があった。だが、JDAM-ERのおかげでウクライナ空軍の作戦のあり方が大幅に変わる可能性があるというのだ。
写真:Twitter @KpsZSU
アックスは次のように言っている:「ウクライナ空軍は現在前線から数キロ先までしか攻撃することができないでいるが、新しい爆弾のおかげで80キロ先のロシア軍を爆撃することが可能になる」さらに、ウクライナ空軍はロシア空軍の戦術を真似ることすら可能になるとも言われている。
アックスはさらに次のように続ける:「JDAM-ERがあれば、ウクライナ空軍は自前のMiG-29やSu-27、Su-24などの機体でロシア空軍のTu-95やTu-160が実行しているような攻撃をすることが可能になる」
それはすなわち、ウクライナ空軍が「真に戦局に影響するような目標を破壊する」ことができるようになるという意味だとアックスは論じている。
アックスによると、そのような目標とは橋や補給地、さらには兵舎や司令部まで含むという。
『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、このJDAMの供与をバイデン政権が発表したのは昨年12月、ゼレンスキー大統領がワシントンを訪問したときのことだった。そこで表明された18億ドル超の軍事支援の一環ということだ。