イエローストーンの地底に眠る巨大な「マグマだまり」が噴火したら?:アメリカ全土で犠牲者9万人に
北米最大の火山地帯にあるイエローストーンは広大なカルデラを持つ巨大火山、「スーパーボルケーノ」だ。
『サイエンス』誌によると、その地下のマグマだまりにある液状のマグマの量はこれまでの試算よりもはるかに多い可能性があるという。
写真:Dan Meyers/Unsplash
科学者たちは、火山の地下にあるマグマの量を手がかりに噴火までどれくらい猶予があるかを推定している。
写真:Marc Szeglat/Unsplash
マグマは岩や鉱物結晶から構成されており、その粘性度もさまざま。マグマが液状に近いほど、噴火も近くなる。
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イエローストーン火山のカルデラの下にはふたつのマグマだまりがある。ひとつは地下5~15km、もうひとつは地下20~50kmに存在する。
過去の研究では、浅いほうのマグマだまりはほとんど固形のマグマで占められており、液状の部分はわずか5~15%ほどだと考えられていた。
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だが、強力なスーパーコンピューターを使ってここ20年の地震データを再解析したところ、液状のマグマの割合は16~20%にまで達していることがわかった。
液状マグマの量が35~50%になると噴火の可能性があるとされており、さしあたり大きな危険はない。
科学者によると、イエローストーンの巨大火山が噴火すると1500km離れたところでも厚さ3mの火山灰に覆われ、アメリカ全体が「核の冬」のようになるという。
さらに、噴火によって一瞬のうちに9万人ほどの犠牲者が出ると試算されている。
幸運なことに、研究によればイエローストーンの巨大火山が近い将来に噴火する可能性は低いと考えられている。
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研究が進んでも噴火の危険性が減るわけではないが、いままで得られていたデータをより正確に理解することができるようになったという。
「古いカメラに新しいレンズをつけるようなものです」と地球物理学者のマイケル・ポランダはニューヨークタイムズ紙に語る。「カメラは同じですが、解像度は上がりました。もっとはっきり見えるようになったんです」
イエローストーン火山はワイオミング州北東部の国立公園にある。世界でも最大級の火山だ。
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この火山は210万年前から何度か噴火してきた。それには3度の巨大噴火が含まれ、そのたびにあたり一帯が灰で覆いつくされてきた。
イエローストーンのカルデラは50×70kmほどの大きさがあり、約63万年前に起きた噴火の際に形成された。
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火山のあるエリアはアメリカ地質調査所(USGS)とイエローストーン火山観測所によって常時監視されている。従って噴火の兆候が表れれば、すぐに察知されるはずだ。