アメリカ主力戦車「M1エイブラムス」第一弾がウクライナに到着:戦局はどうなる?

「M1エイブラムス」がウクライナに
予定よりも早い到着
ゼレンスキー大統領のコメント
到着を認める米政府
「強力な抑止力」
正式採用は1980年
強力な装備
主砲と機関銃
有力な兵器
「驚くほど敏捷」
静かなエンジン
敵防御線を突破
ウクライナの土地に適している
「およそ普通の戦車ではない」
「ウクライナにとって大きな力に」
ロシア当局のコメント
エイブラムスは「燃えさしとなる」
「M1エイブラムス」がウクライナに

アメリカ製主力戦車「M1エイブラムス」の第一弾がウクライナに到着したとゼレンスキー大統領は発表した。今年1月、アメリカから31両の供与が表明されていた戦車である。果たしてこの戦車は戦況を変えることができるだろうか?

予定よりも早い到着

『ニューヨーク・タイムズ』の報道によると、M1エイブラムスは予定よりも数ヶ月早く届けられたという。また、さらなるM1エイブラムスがこの先ウクライナに届けられる予定だと、匿名のアメリカ国防総省関係者が同メディアに語っている。

ゼレンスキー大統領のコメント

ゼレンスキー大統領は、「同盟国が約束を果たしてくれたことに感謝します。これからも新しい契約を結び、兵站の地勢図を拡大したい」とコメントしたものの、その戦車の性能などについて詳しくは語らず、いつ戦場に投入されるかも明言しなかった。

到着を認める米政府

軍事情報専門サイト「The War Zone」のトマス・ニューディック記者がアメリカ国防総省に問い合わせたところ、ペンタゴンは供与予定のエイブラムス戦車全31両のうち第一弾がたしかにウクライナに到着したと認めたという。

「強力な抑止力」

その声明文にてペンタゴンは、エイブラムス戦車がウクライナにあるという事実それ自体が「強力な抑止力」として機能し、「積極的な軍事行動」を思い止まらせるだろうとした。

正式採用は1980年

ペンタゴンのこの見立てはやや希望的観測かもしれないが、ウクライナ軍が今も種類を増やしつつある最新兵器の中でも主力戦車M1エイブラムスは最も有力な兵器である。米国で初めて正式採用されたのは1980年代のことだが、現在もなお強力な戦車なのだ。

強力な装備

主砲に51口径105mm ライフル砲M68A1、セラミックと鋼鉄の複合装甲を備えるこの戦車は、砲弾を55発積み込めるよう設計されており、兵器情報サイト「MilitaryToday.com」によると、優れた射撃管制装置のおかげで走行中にも射撃が可能だ。

主砲と機関銃

M1エイブラムスはおよそ2キロメートル離れた標的を射撃することができる。機関銃としては、7.62mm機関銃が2つ、12.7mm重機関銃が1つ搭載されている。

写真:Wiki Commons: By Unknown author. - https://www.flickr.com/photos/peosoldier/3882305378/in/datetaken/, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10538199

有力な兵器

いうまでもなく、M1エイブラムスは優秀な殺戮兵器としてデザインされており、敵部隊による激しい攻撃から乗員4名を保護し、なおかつ致命的な一撃を相手に与え、先陣を切って敵陣地に飛び込めるようデザインされている。

写真:Wiki Commons: Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=115029

「驚くほど敏捷」

同世代の他の戦車に較べて図体が大きく重量があるM1エイブラムス戦車だが、前出の「MilitaryToday.com」によると、その動きは「驚くほど敏捷」という。たいていの戦車より速く移動し、クロスカントリー走行にも強く、かつエンジン音が静かなのだ。

写真:Wiki Commons:  By DoD photo by SPC ADAM SANDERS, USA Date Shot: 8 Jan 2005, original uploader was Signaleer from en.wikipedia - originally from [1], transferred from here, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4147396

静かなエンジン

この静かなエンジン音は敵からするといかにも不気味で、「ウィスパリング・デス」という異名で恐れられている(「ささやく死」といった意味)。ウクライナはそうした兵器を今まさに配備しようとしているのだ。

写真:Wiki Commons:  By Staff Sgt. Jason Hull - https://www.dvidshub.net/image/2208587/white-falcons-integrate-armor-support-combined-arms-live-fire-exercise-new-mexico, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=53635595

敵防御線を突破

『ワシントン・ポスト』紙の報道によると、M1エイブラムス戦車は敵戦車との交戦を想定して作られており、敵防御線を突破できるようデザインされている。まさにそのような働きこそ、ウクライナ東部・南部の戦場に投入されるであろうこのアメリカ製戦車に期待されていることなのだ。

写真:Wiki Commons: By U.S. Marine Corps photo by Sgt. Micha Pierce - https://www.dvidshub.net/image/6807853/combined-anti-armor-team-red-platoon-conducts-rehearsals-exercise-koolendong, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=109509507

ウクライナの土地に適している

M1エイブラムスの足回りは、森林のない開けた土地を素早く移動できる仕様となっており、ウクライナの戦場に適していると言える。この戦車が開発されていたころアメリカにとって最大の敵はソビエト連邦であったことを考えると、こうした特性を備えていることにも納得がいく。

写真:Wiki Commons: By Unknown author - https://catalog.archives.gov/id/6398920, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=129680707

「およそ普通の戦車ではない」

「エイブラムスは戦場に変化をもたらすはずです。およそ普通の戦車ではないですから」と、米軍統合参謀本部作戦部長ダグラス・シムズ2世中将は「ビジネスインサイダー」にて語っている。

写真:Wiki Commons: By U.S. Army - LTG Douglas A. Sims II (USA)Lt. Gen. Douglas Sims Official Portrait, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=121100554

「ウクライナにとって大きな力に」

「(この戦車が実戦に投入されるときまで)ウクライナの反転攻勢が続いているかは分かりません。しかし、エイブラムスの投入はウクライナにとり大きな力になることは間違いありません」と、ダグラス・シムズ2世中将は続けている。一方、ロシア当局の見解は大きく異なっている。

ロシア当局のコメント

英紙『テレグラフ』の報道によると、ロシア大統領府ドミトリー・ペスコフ報道官はアメリカ製戦車のもたらす効果を高く評価しておらず、エイブラムスはあえなく「燃えさし」となるだろうとコメントした。

エイブラムスは「燃えさしとなる」

ペスコフ報道官はさらに、「戦場におけるパワーバランスを一変するようないかなる万能薬も兵器もない」と論じている。「エイブラムス戦車は油断ならない兵器だが、それでもあえなく燃えさしとなるだろう」。ペスコフ報道官の予言が正しいかどうか、じきにはっきりするはずだ。

写真:Wiki Commons: By Sgt. Averi Coppa - https://www.dvidshub.net/image/4871351/trident-juncture-18-us-marines-advance-folldal, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=74117717

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