米大統領選を占い9割的中:アラン・リクトマン教授の予想とは
米国の歴史家アラン・リクトマン教授は米大統領選の結果を事前に予想することで知られる。その手法は批判を浴びることも少なくないが、1984年以降の大統領選において、10回中9回という驚異的な的中率を誇っている。
そんなリクトマン教授は11月5日に行われる今回の選挙について、民主党のカマラ・ハリス副大統領がトランプ前大統領を破って当選すると見ている。
『USAトゥディ』紙のインタビューを受けたリクトマン教授は「米国には画期的な新大統領が誕生するでしょう。カマラ・ハリス氏は米国史上初の女性大統領として、ガラスの天井を粉砕しないまでも、打ち破ることができるはずです」とした。
リクトマン教授いわく:「(前略)ハリス氏はアフリカ系と南アジア系の混血という面でも、史上初の米大統領になります。これは米国の行方を象徴するものと言えます。米国では、従来の多数派が少数派に転落するのです。私のような白人の老人はお役御免だということです」
リクトマン教授は自身のYouTubeチャンネルを通じ、選挙結果の予想法について、詳しく説明している。同教授の手法は13項目からなる「ホワイトハウスへの鍵」に基づいて、与野党候補の得点を計算するというものだ。
画像:Youtube - Allan Lichtman
13の「鍵」は政局に関する記述となっており、これが現状に当てはまるならば与党候補が1ポイント、当てはまらない場合は野党候補が1ポイント獲得する。そして、合計得点が大きい方が当選する可能性も高いということになる。
リクトマン教授いわく:「『ホワイトハウスへの鍵』は根拠のない評論家たちの予想に代わる指標です。一方、世論調査は予想というよりも、ある時点でのスナップショットだと言えます」
リクトマン教授によれば、同氏の手法は「与党の実力と実績」に基づいたものであり、世論調査や専門家の見解よりも信頼性が高いとのこと。つまり、現政権の実績や失策のほうが、各候補者の公約よりも選挙結果に大きな影響を与えるという考え方だ。
では、13の「鍵」とは具体的にどのようなものなのだろうか? ひとつずつ見てゆくことにしよう。
項目1:「中間選挙によって、与党が米下院における議席数を増やした」
項目2:「与党内で候補者争いが起きておらず、予備選挙も行われていない」
項目3:「現職の大統領が与党候補者として、再選を目指している」
項目4:「第3政党や独立系の勢力には有力な候補者がいない」
項目5:「選挙期間中に不況に陥っていない」
項目6:「現政権における1人当たりの経済成長率は、過去の2政権と同等またはそれ以上である」
項目7:「現政権は国家政策に大きな変化をもたらしている」
項目8:現政権の統治下で継続的な社会不安は起きていない」
項目9:「現政権は大きなスキャンダルに見舞われていない」
項目10:「現政権は外交・軍事面で大きな失敗をしていない」
項目11:「現政権は外交・軍事面で大きな成果を挙げている」
項目12:「与党候補はカリスマ性のある人物、または国民的英雄である」
項目13:「野党候補にはカリスマ性がなく、国民的英雄でもない」
リクトマン教授の見立てでは、これらの項目に基づいて両候補を採点した結果、ハリス副大統領が9ポイントを獲得したため、ハリス政権が誕生する可能性が高いとのこと。
一方、世論調査では両候補者の勢いは拮抗しており、調査ごとに結果が違うありさまだ。
ちなみに、リクトマン教授がこの40年間で予想を外したのは、ジョージ・W・ブッシュ元大統領がアル・ゴア候補を破った2000年の大統領選のみだ。波乱含みとなった今回の大統領選でも、リクトマン教授の予想は的中するのだろうか? その結果は1週間後に明かされることとなる。
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