インドネシア・スマトラ島西部で火山泥流が発生:犠牲者数が43人に
先週末、インドネシアのスマトラ島西部で大雨が降り、洪水や鉄砲水が発生。被害を受けたエリアは昨年12月に噴火したマラピ山に近く、多量の火山灰が積もっていたことから「火山泥流」が発生してしまった。
昨年12月の噴火では地上3,000メートルの高さまで火山灰が噴出、周辺の街や道路が火山灰に覆われたほか、23人の登山者が命を落とした。今回、その時の火山灰がもととなり大規模な「火山泥流」が発生、さらなる被害が広がっている。
ロイター通信によれば、13日の時点で少なくとも43人が死亡、15人が行方不明となっているほか、負傷者数は10人にのぼるという。
CNNによれば、大雨が降ったことにより堆積していた火山灰に水が混ざって流れ出し、砂や小石などを巻き込んだものを「火山泥流」という。
『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、こうした土石流は「冷たい溶岩」あるいはインドネシア語で「ラハール」とも呼ばれる。
アメリカ地質調査所は、こうした土石流が大量に発生すると「建物、橋、道路など、その進路にあるほぼすべてのものを押しつぶしたり、埋めたり、流したりする可能性がある」と指摘。
インドネシア国家防災庁はCNNに対し、活火山マラピ山に近い道路や山腹に点在する村々が「ラハール」あるいは「火山泥流」に覆われたと説明。
さらに同庁はCNNに対し、「ラハール」により土砂崩れが発生し、住宅84戸と橋16本が被害を受けたことを明らかにした。
火山泥流が発生したアガム県内では100軒の家屋や建物が水没したほか、アガム・リージェンシー地区では多くの住民が水にさらわれて犠牲となった。
サイト版「ナショナルジオグラフィック」によれば、スマトラ島にそびえる標高2,981メートルのマラピ山は、インドネシアで最も噴気活動が活発な火山のひとつだ。
インドネシアは太平洋火山帯と呼ばれる環太平洋火山帯に位置し、国内に127の活火山を抱える世界有数の火山国として知られる。
CNNによれば、スマトラ島のマラピ山は21世紀に入ってからすでに11回噴火している。史上最悪と記録された噴火は1979年のもので、60名が犠牲になった。