ウクライナ、ロシア領内の弾薬庫をドローンで攻撃して「地球上から抹消」
9月17日、ウクライナがロシア国内の弾薬庫に大規模なドローン攻撃を仕掛け大きな成功を収めた。その結果、ロシアは無視できない規模の弾薬を失ったとする報道もある。
『フォーブス』誌によると、目標とされたのはロシアの町トロペツにある第107武器庫だったという。BBCによると、この武器庫はウクライナとの国境から380kmほどの距離にあるとされている。
『フォーブス』誌のデヴィッド・アックス記者は、この第107武器庫はウクライナで戦うロシア軍に多くの弾薬を供給していたとしている。ウクライナはこの、大規模な弾薬保管施設を狙ってドローン攻撃を仕掛けたようだ。
画像:European Space Agency, Copernicus via Defense Express
アックス記者はウクライナメディア「RBC-Ukraine」を引用しつつ、攻撃には100以上のドローンが使われたとしている。それが事実だとすると、2022年2月のロシアによる全面侵攻開始以来、ウクライナ側がロシアに対して行った攻撃としては最大規模のものとなる可能性がある。
第107武器庫に実際に何が保管されていたのかは明らかになっていない。だが、ウクライナのOSINTグループ「Frontelligence Insight」が分析を通じた推測を提示している。
それによると、トロペツの武器庫には砲弾やロケット弾、銃弾などが保管されていた可能性があるという。さらに、多数の弾道ミサイルなどより強力な武装もあったかもしれないとされている。
『フォーブス』誌によると「Frontelligence Insight」はこうコメントしているという:「誇張ではなく、これはかなりの戦果です。何千トンにも及ぶ爆発物や砲弾、ロケット弾を破壊したかもしれないのです」
画像:European Space Agency, Copernicus via Defense Express
また、ウクライナ保安庁のある高官によると、トロペツの武器庫には多種多様な武器や弾道ミサイルが保管されていたという。米政治メディア「ポリティコ」などが報じている。
その高官はこう語っている:「ロシア軍はその保管庫に戦域弾道ミサイル複合『イスカンデル』やミサイルシステム『トーチカ』用の弾体、その他の対空ミサイル、滑空爆弾、砲弾などを置いていた。ウクライナを攻撃するためのものだ」
「我が方のドローンが目的地に着くやいなや、激しい爆発が始まった。地域住民は核爆発かと思ったほどだ。一帯は6km四方に渡っていまも燃えている」
画像:Telegram @vchkogpu
この高官の発言は『キーウ・インディペンデント』紙も報じており、そちらでは同じ人物のコメントとして、ウクライナは「ロシア国防省のミサイル・砲弾倉庫を文字通り地球上から抹消した」というものも伝えられている。
画像:Telegram @vchkogpu
ウクライナ保安庁はこの攻撃の様子とされる動画も公開しており、そこでは確かにかなり大規模な爆発が確認できる。攻撃の結果、大規模な火災が発生したという報道も複数出ている。
画像:Telegram @vchkogpu
『ワシントン・ポスト』紙は「かつて保管基地があったと思われる地域に巨大な火災が発生していることが、衛星写真から確認できる」としている。
同紙はさらに、NASAの火災モニターツール「FIRMS」でも、9月18日に第107武器庫が火災に見舞われたことが確認できたとも報じている。
画像:NASA via X @Tendar
ロイター通信によると、ゼレンスキー大統領も国民に向けた夜の定例会見でこの攻撃について言及し、次のように述べたという:「昨晩、ロシア領内で顕著な戦果が挙げられました。これによって敵はさらに弱体化するでしょう。関係者の方々の、正確な働きに賛辞を送ります」
BBCの試算によると、トロペツの武器庫には3,900万ドル(約57億円)相当の武器弾薬類があったという。だが、ロシアの損失は経済的なものには留まらない。自国領内でこれほどの損失を許したとなれば、政治的にも大きな痛手となるだろう。