ウクライナ、1970年代に開発された旧型練習機を活用:敵ドローンの撃墜に成功

旧型機を活用するウクライナ
「ヤコブレフYak-52」の登場
初飛行は1976年
第二次世界大戦時代の練習機の後継として開発される
複座レシプロ機
ドローンに接近、ショットガンで撃ち落とす
少なくとも20機のドローンを撃墜
Yak-52の撃墜は意外と難しい
「頑丈だが目立ちにくい」
レーダーに映りづらく、攻撃されても耐えられる
ロシア政府は撃墜を発表
あっさりとした言及
国防省の発表では
政府からのコメントはなし
地上撃破の可能性も
複数機運用されている可能性も
旧型機を活用するウクライナ

ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始してから2年半以上、ウクライナは保有するあらゆる兵器を活用して祖国防衛にあたっている。そうしたウクライナではなんと、冷戦時代のレシプロ機「ヤコブレフYak-52」さえも防空に利用されていることがわかった。

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「ヤコブレフYak-52」の登場

ウクライナ侵攻も3年目に入り、これまでも多くの変わった兵器の活用事例があった。とはいえ、今春、ヤコヴレフYak-52がウクライナの空を守ったことはやはり特筆に値するだろう。

 

初飛行は1976年

Yak-52は冷戦時代に設計されており、ウェブサイト『Military Factory』によると初飛行は1976年だという。以降、1991年に至るまで練習機としてソ連で活用されてきた。

第二次世界大戦時代の練習機の後継として開発される

Yak-52は別タイプのYak-50と同時期に開発されたのだが、その2機種はどちらも1947年に開発された練習機Yak-18の後継機となることが目指されていた。というわけで、1970年代に開発されたものの、どこか古風な雰囲気を持っているのだ。

画像:Wiki Commons By Michael Barera, CC BY-SA 4.0

複座レシプロ機

複座のレシプロ機という、いかにも第二次世界大戦的なデザインのYak-52だが、『フォーブス』誌によると防空にあたって採用している戦術はむしろ第一次世界大戦を思わせるものなのだという。

画像: X @clashreport

 

ドローンに接近、ショットガンで撃ち落とす

ウクライナはそのYak-52をドローン対策に利用している。Yak-52を用いて敵のドローンに接近、後部座席からショットガンで撃ち落とすのだ。そして、Yak-52はこの任務に非常に適しているという。

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少なくとも20機のドローンを撃墜

『フォーブス』誌のデヴィッド・アックス記者は7月14日、Yak-52は運用開始からの3ヶ月で少なくとも12機のドローンを撃墜したと述べている。実際、ロシアのある軍事ブロガーから「Yak-52を撃墜したほうがいいのでは」という声すら出てきているのだという。

画像:Telegram @TyskNIP
Yak-52の撃墜は意外と難しい

時代遅れの練習機を撃墜するのなど朝飯前に思えるかもしれない。だが、アックス記者によると、むしろいまでは使われなくなった技術が用いられているせいで、ロシアにとってYak-52を撃墜するのは簡単ではないのだという。

画像:Telegram @TyskNIP

「頑丈だが目立ちにくい」

アックス記者はこう書いている:「ロシア側がYak-52を撃墜するのが難しいのは、ショットガンを使ってドローンを撃ち落とすのに適している理由と同様だ。Yak-52は頑丈だが目立ちにくいのだ」

レーダーに映りづらく、攻撃されても耐えられる

アックス記者はさらにこう続けている:「Yak-52はレシプロ機で、ロシアの長距離防空レーダーにとっては厄介なことにあまり大きな影として表示されない。それに、たとえばドローンを突っ込ませてYak-52を損傷させることに成功したとしても、乗務員は無事に着陸することができるだろう」

画像:X @auto_glam
ロシア政府は撃墜を発表

だが残念なことに、Yak-52を用いた対ドローン戦略はロシア側の注目を集めてしまった。アックス記者はYak-52の撃墜は困難だとしているが、ロシア側は最近それに成功したと主張している。

画像:Wiki Commons By Julian Herzog, CC BY 4.0

あっさりとした言及

7月16日、ロシア国防省はドローンを狙っていたYak-52を撃墜したと報告した。『ニューズウィーク』誌が報じている。ただし、この件は報告の中でわずかに触れられただけだった。

画像:Wiki Commons By Dmitriy Fedorenko, CC BY-SA 4.0

国防省の発表では

ロシア国防省の発表ではこう述べられていた:「作戦中、防空システムはアメリカ製ミサイルATACMS6発、フランス製空対地誘導爆弾『ハンマー』2発、アメリカ製ロケット弾HIMARS7発、無人飛行機(UAV)28機、そしてウクライナの飛行機Yak-52を機銃で撃墜した」

政府からのコメントはなし

『ニューズウィーク』誌のイザベル・ヴァン・ブリュッヘン記者はロシア国防省に対してYak-52の撃墜に関するコメントを求めたというが、回答は掲載されていない。また、ロシア政府は撃墜地点も明らかにしていない。

地上撃破の可能性も

ただし、仮にYak-52の破壊が事実だった場合、それは地上での撃破だった可能性がある。あるロシアの軍事ブロガーによると、オデーサ近郊の空港にロシアが行った攻撃で航空機が破壊された可能性があるというのだ。同じく『ニューズウィーク』誌が伝えている。

複数機運用されている可能性も

また、対ドローン任務にあたっていたYak-52は1機だけではないかもしれない。軍事情報サイト『The War Zone』は7月25日、ドローン攻撃にウクライナが用いていたYak-52の数は不明だが、「少なくとも2機は対ドローン任務に記載されており、3機運用されていた可能性もある」と書いている。

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画像:Telegram @TyskNIP

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