ウクライナ軍、ロシア南部クルスク州で重要な橋の破壊に成功
今年8月、ウクライナ軍はロシア領への越境攻撃を開始した。国境沿いにあるロシア南部のクルスク州に兵を送り込み、ロシアにとり戦略的に重要なインフラを攻撃している。
今回破壊したのはクルスク州にある橋で、ウクライナ陸軍第116独立機械化旅団の「コーン・グループ」がその攻撃の様子を公開している。
「コーン・グループ」は同旅団内の監視・索敵部隊のニックネームで、クルスク州の橋を攻撃したのもその「コーン・グループ」だ。
問題の橋はロシアの村カリザハ付近に位置しており、軍事メディア「Militarnyi」によるとコーン・グループは西側に供与されたロケット砲を用いて攻撃したという。
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「Militarnyi」によると攻撃に利用されたのはアメリカ製のM142高機動ロケット砲システム(HIMARS)もしくはM270多連装ロケットシステム(MLRS)だという。橋は完全に破壊こそされなかったものの、大きなダメージを負ったとされている。
コーン・グループはテレグラムチャンネル上で、偵察ドローンが撮影した橋への攻撃の様子を公開している。その動画からは、橋の一部は攻撃を免れかろうじて利用可能なようにも見える。
画像:Telegram @khornegroup
ドローンは3回にわたる攻撃の様子を撮影している。『キーウ・ポスト』紙によるとこの橋はもともと損傷を被っていたという。同紙は今回の攻撃についてこう解説している:「最初の2発はクラスター弾を橋上あるいは水上に放っており、3発目で大きな爆発が生じた」
画像:Telegram @khornegroup
「Militarnyi」の見解では、補強用の板を渡すなどすれば軽車両がこの橋を渡ることはいまも可能だという。逆に言うと、戦車などの装甲車両は通過が困難だということでもある。
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カリザハ村付近の橋を破壊したことはウクライナ側にとって顕著な戦果といえる。なぜなら、同村はウクライナによる越境攻撃の要となっているセイム川から約7kmの地点にあるからだ。
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また、カリザハ村はクルスク市から27kmほど、グルシコヴォ市街地から12kmほどの位置にある。アナリストらは、両地点ともウクライナが越境攻撃での占領を目指している重要な目標だと考えている。
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「Militarnyi」が9月8日に出したレポートではこう書かれていた:「ひと月ほど前、ウクライナ軍はロシアとの国境を越えてクルスク州に攻め入った。現在、ウクライナ軍は1,000平方kmにおよぶ領域、10を越す集落、そしてスジャの町を占拠している」
「Militarnyi」はさらにこうも述べている:「8月後半以来、ウクライナ軍はグルシコヴォ周辺のエリアを孤立させるための作戦を続けている」また、ロイター通信によると、ウクライナは8月にセイム川にかかる他の橋3つも攻撃・破壊しているという。
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同じく「Militarnyi」によると、ウクライナ軍は「セイム川にかかる橋やポンツーン(舟橋)も破壊」しており、それはロシア軍の同地域での戦闘を阻害することが目的だという。
『キーウ・ポスト』紙のシュテファン・コルシャク記者はこう書いている:「8月中旬以降、ロシアの工兵は少なくとも3つのポンツーンをセイム川に架けた。だが、軍事メディアによると、ウクライナ軍は偵察によってそれを発見し次第破壊したとされる」
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コルシャク記者によると、この攻撃によって最大3,000人ほどのロシア軍兵士らが、30×20kmほどの地帯で孤立させられたという。
だが、ウクライナ軍はそのセイム川周辺地帯を完全に包囲しているわけではない。ロシア軍はいまも川を経由すればロシア本土にアクセス可能であり、それによって徐々に戦況が変化するかもしれない。
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コルシャク記者は今回破壊された橋についてこう語っている:「ロシア兵はクルスク州のウクライナとの国境に近い地域で孤立し、安全に避難する経路を失った。そこから逃れるすべはないかもしれない」
ロシア軍が同地域を放棄するのか戦闘を継続するのかはまだ不明だが、今回カリザハ村付近の橋を破壊したことで、セイム川周辺の露軍側防御陣地がより不安定になったことは確かだ。