ゼレンスキー大統領、捕虜となったウクライナ兵と親露派内通者を交換するプログラムを立ち上げ
ウクライナは最近、ロシア軍の捕虜となったウクライナ兵と親露派の内通者を交換するというプログラムを開始した。果たして、このプログラムによって、多くの捕虜をウクライナに帰国させることができるのだろうか?
このプログラムはウクライナ国防省情報総局とウクライナ保安庁、さらに戦争捕虜対応調整本部(KSHPPV)が共同で立ち上げたものだ。
画像:ウクライナ国防省情報総局
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ウクライナの軍事情報サイト「Militarnyi」によれば、ウクライナ国防省情報総局はこのプログラムを「Khochu k Svoim(仲間と合流したい)」と名付けたそうだ。
ウクライナ国防省情報総局のプレスリリースによれば、このプログラムの目標はロシア軍の捕虜となったウクライナ兵を全員帰国させることであり、親露派の内通者を引き渡すことでロシア側が交渉に応じるよう取り計らうとのこと。
一方、ウクライナのニュースメディア「ユーロマイダン・プレス」のユーリ・ゾリア記者は「このプロジェクトの目的はウクライナに対する侵略の中で、ロシアの占領軍を支援したり協力したりして有罪判決を受けた内通者や反逆者、ロシアのスパイに関する情報を公開することです」としている。
ウクライナ国防省情報総局のアンドリー・ユソウ報道官によれば、「Khochu k Svoim」プログラムでは有罪判決を受けたロシアのスパイや内通者に関する情報がウェブサイト上で公開されるが、同時に「交換に同意する」という選択肢が与えられるという。
画像:ウクライナ国防省情報総局
前出のウェブサイト「Militarnyi」いわく、「 これによって、内通者はロシア側に拘束されているウクライナ人と交換されることに合意したと見なされる」とのこと。つまり、ウクライナとしては内通者を追い出しつつ、ウクライナ人捕虜の帰国も実現させられるという一石二鳥の計画なのだ。
また、「Militarnyi」によれば、このプログラムによってウェブサイトに掲載される内通者は、ロシアへの協力によって有罪判決を受けた人物に限られるという。
画像:ウクライナ国防省情報総局
「Militarnyi」いわく:「(プログラムの)サイトには、ウクライナ市民がむりやりロシア軍に協力させられるのを防いだり、敵と内通している人物について当局に通報するための仕組みも設けられている」
ウクライナ国防省情報総局はプレスリリースを通してプログラムへの参加を国民に呼びかけている。プログラムのウェブサイトでは、ロシア軍にむりやり協力させられたときに、どのように対応すればよいかについても説明がなされている。
また、内通が疑われる人物が身近にいるケースを考慮して、当局への通報の手順が示されているのだ。
実は、ウクライナでは内通者の存在が大きな問題となっている。ウクライナ保安庁が昨年発表したデータによれば、2022年2月から2023年9月にかけて、市民7,600人あまりがロシアへの内通の疑いで起訴されているのだ。
画像:ウクライナ保安庁
ウェブサイト「Eurovison News」によれば、「起訴された人々の罪状は軍事目標に関する情報漏洩、弾圧行為への参加、SNS上での『敵を賛美する』投稿」などだ。
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ウクライナ保安庁はウェブサイト上で、ロシアとの内通者によるもっとも深刻な犯罪について毎日発表を行っている。
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このようなケースのうち、もっとも多いのは軍事施設やインフラの位置をロシア軍に知らせ、空爆に手を貸すというものだ。今年7月にも、ハルキウ州とスムイ州でミサイル攻撃を実施するロシア軍にターゲットの情報を渡そうとしたとして、夫婦が逮捕されている。
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さらに、ウクライナ軍による動員反対を掲げた武力蜂起を煽動するため、SNS上でネットワークを構築したウクライナ人の元テレビ司会者と親露派ブロガーも御用となった。
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