ウクライナに加勢する義勇兵たち:ロシア国籍を持つチェチェン人が立ち上がる

ロシア国籍のチェチェン人たち
ロシアとチェチェン共和国の因縁
第一次チェチェン紛争
第二次チェチェン紛争
独立派の壊滅
行先はヨーロッパや中東
ウクライナにたどり着いた人も
2014年から戦い続けている部隊も
チェチェン人義勇兵がロシア軍と戦う理由
「若者世代の自由な未来のために」
ロシアのプロパガンダ
チェチェン人のイメージ
「テロリストやギャング」
「非常に悪い」イメージにもかかわらず……
なぜウクライナを支援するのか?
チェチェン共和国の悲劇を繰り返さないため
チェチェン共和国とウクライナを重ね合わせる義勇兵
ロシア国籍のチェチェン人たち

2022年2月に勃発したロシアによるウクライナ侵攻。ロシア南部のチェチェン共和国では、数千人もの義勇兵がウクライナに加勢するため、故郷を離れて戦場に向かったという。しかし、ロシア国籍を持つ彼らがなぜ、ウクライナ側に立って戦っているのだろう?

ロシアとチェチェン共和国の因縁

少なくない人数のチェチェン人義勇兵たちが、プーチン政権の派遣したロシア軍に挑んでいるのには相応の理由がある。チェチェン共和国はロシアとの間に因縁の過去を抱えているのだ。

 

 

第一次チェチェン紛争

1992年、当時のエリツィン政権はチェチェン共和国のジョハル・ドゥダエフ政権がロシアからの独立を宣言したことを受け、小規模な軍事介入を試みるが失敗。2年後には態勢を整えて大規模な軍事作戦に踏み切り、第一次チェチェン紛争が始まった。

第二次チェチェン紛争

第一次チェチェン紛争はドゥダエフ大統領の戦死などを経て収束に向かい、和平合意が結ばれた。ところが、チェチェン共和国に隣接するダゲスタン共和国やモスクワで集合住宅が爆破されるという事件が続発。これは親チェチェン派テロ組織の仕業だとされ、1999年にプーチン首相(当時)の指揮のもとロシア軍がテロリスト掃討に乗り出し、第二次チェチェン紛争が勃発する。

 

 

独立派の壊滅

ロシア軍はチェチェン共和国の首都グロズヌイを掌握。独立派勢力は壊滅し、チェチェン人数万人が難民として海外に流出する結果となった。

 

行先はヨーロッパや中東

2023年2月、英ニュースサイト「UnHerd」がチェチェン人義勇軍に関する記事を公開。その中で筆者のデイヴィッド・パトリカラコス氏は、「ロシアと戦った人々の多くは国外に避難し、ヨーロッパや中東に離散してゆきました」と述べている。

 

ウクライナにたどり着いた人も

同氏いわく:「しかし、納得がいかない人もいたのでしょう。彼らは結局、ウクライナにたどりついたわけです。どこにあろうともロシア政府と闘い続ける決意を固めています」

 

2014年から戦い続けている部隊も

ウクライナにおけるチェチェン人義勇軍は複数の大隊に分かれており、中でもジョハル・ドゥダエフ大隊とシェイク・マンスール大隊は2014年にドンバス戦争が始まって以来、ロシア軍と戦い続けてきた。

チェチェン人義勇兵がロシア軍と戦う理由

『ガーディアン』紙のデイヴィッド・ボフィー記者は、そのような部隊の1つに所属するチェチェン人義勇兵「トール」(38)にインタビューを行い、彼らがどうしてウクライナでロシア軍と戦っているのか尋ねた。

 

「若者世代の自由な未来のために」

この問いに対する「トール」の答えは、「私たちは未来のために戦っています。私たち自身やウクライナ、そして若者世代の自由な未来のために戦っているのです」というものだった。

ロシアのプロパガンダ

「トール」はさらに、「私たちにとって、若者世代は旧ソ連世代よりも大切です。ロシアによるプロパガンダに毒された人々の意見を真に受けるわけにはいきません。私たちとしてはそもそも、あまり気にしてませんが」と付け加えている。

チェチェン人のイメージ

彼の言う「プロパガンダ」とは、ロシアが旧ソ連圏で20年あまりにわたって流布した、非人道的で野蛮なチェチェン人というイメージのことだ。

「テロリストやギャング」

実際、「トール」が知り合ったあるウクライナ人などは、チェチェン人義勇軍がロシア軍と戦っていることに満足しつつも、チェチェン人たちを「テロリストやギャング」の集まりだと見なしていたという。

「非常に悪い」イメージにもかかわらず……

「トール」いわく、ウクライナにおけるチェチェン人のイメージは「非常に悪い」とのこと。それでも、チェチェン人義勇兵たちはウクライナに加勢してロシア軍と戦うことを選んだのだ。

なぜウクライナを支援するのか?

それにしても、チェチェン人義勇兵たちはなぜ、自分たちを「テロリスト」扱いするウクライナ人たちを支援しているのだろうか?

 

チェチェン共和国の悲劇を繰り返さないため

前出のデイヴィッド・パトリカラコス氏が「カズベク」と名乗るチェチェン人義勇兵にその理由を尋ねたところ、彼の返答は、ロシアがかつてチェチェン共和国に対して行ったような破壊をウクライナで繰り返すのを阻止するため、というものだった。

 

チェチェン共和国とウクライナを重ね合わせる義勇兵

「カズベク」いわく:「私がここウクライナで戦っているのは、そもそもロシアが私の故郷であるチェチェンを荒らしたからです。今、ロシアはかつて私たちにやったことを、ウクライナでも繰り返そうとしているのです」

 

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