ウクライナの自爆ドローン、ロシア軍の貴重なロケットランチャーを破壊
ウクライナ保安庁が公開した動画によれば、ロシア軍はまたしても高価かつ貴重な重火力投射システムを失ったようだ。
ウクライナ保安庁のアルファ部隊所属の隊員たちは、ドローンを利用してロシア軍の多連装サーモバリック弾頭ロケットランチャー「TOS-1A」を破壊することに成功。
ウクライナ保安庁が公開したビデオには、同庁アルファ部隊がロシア軍のTOS-1Aを破壊するため、降り注ぐロケット弾をかわしながら作戦を遂行する様子が映されていた。
画像:Twitter @NOELreports(スクリーンショット)
ドローン視点で撮影された30秒あまりの動画によれば、ウクライナ保安庁のドローンはTOS-1Aが一斉射撃を行った隙に接近。
Twitter @NOELreports(スクリーンショット)
どうやら、ウクライナ保安庁の操縦するドローンは弾幕をあっさりかいくぐり砲煙に飛び込むと、ロシア軍の車両の背後に回り込んだようだ。
Twitter @NOELreports(スクリーンショット)
その後、ドローンはTOS-1Aのロケット弾発射装置上部に急接近。そこには、ロシア軍がこの戦争のシンボルとして使っている「Z」のマークがあった。
Twitter @NOELreports(スクリーンショット)
最後にドローンはTOS-1A目がけて突入。ただし、このロケットランチャーが本当に破壊されたことを示す他の証拠はない。
Twitter @NOELreports(スクリーンショット)
「『世界第2位の軍隊』はまたしても『アナログ』兵器を失った」:ウクライナ保安庁が3月8日に公開したテレグラム投稿にはこんなコメントが付されていた。
同庁はさらに「我々は完全な勝利を手にするまでやめない」と続けたが、ロシア軍のTOS-1Aがいつどこで破壊されたのかについては言及しなかった。
オランダのオープンソース・インテリジェンス・グループ「Oryx」の報告によれば、ロシアはウクライナ侵攻開始以来、TOS-1Aシステムを合計6台失ったとされる。
Oryxが映像などから確認したところでは、ロシア軍のTOS-1Aは1台が破壊されもう1台が損傷を受けたほか、残りの4台はウクライナ軍の手によって鹵獲されたという。
写真:Twitter @oryxspioenkop
重火力投射システム「TOS-1A」は、ロシア軍が保有する兵器の中でもとくに大きな破壊力を誇ることで知られている。
『フォーブス』誌のエリック・テグラー記者は2022年3月に、「T-72戦車の上に搭載された(TOS-1Aの)ランチャーは、肺を焼き尽くすサーモバリック弾頭を3.2キロメートル遠方からわずか0.4キロメートル先のターゲットまで自在に狙って発射することができる」と書いている。
写真:Twitter @AeroResearch1
今回、ウクライナ保安庁のアルファ部隊が破壊したとされるTOS-1Aは、旧ソ連時代のものより破壊力が向上した最新版「ソルンツェペク」だ。
写真:Twitter @oryxspioenkop
ウェブサイト「Defense Blog」のディラン・マリャソフ氏いわく:「この戦闘車両には無誘導サーモバリックロケット弾24発を装填できる回転式の発射システムが搭載されており、6~12秒ですべて連射することができる」
同氏によれば、「ソルンツェペクの弾頭は可燃性ガスを雲のように撒き散らし、大規模な爆発を引き起こす」とのこと。
同氏はまた、「この恐るべきロケットランチャーは要塞化された陣地や、開けた場所に展開する軽装甲車両あるいは輸送機関を攻撃することを目的に設計されている」としている。
『ニューズウィーク』誌のニック・モードウェナック記者は、 TOS-1Aシステム1台の運用コストについて「訓練と弾薬」を含めると650万ドルに達する可能性があると指摘している。