ウクライナ侵攻:ポーランド機がNATO機とともに2度スクランブル発進
4月26日夜、ロシアによるウクライナへのミサイル攻撃を受けてポーランド空軍の戦闘機が他のNATO同盟国の機体とともに2度スクランブル発進するという事態が発生した。一体何が起きたのだろうか。
ポーランドの軍司令部はX(旧ツイッター)アカウントで警報を発令。自国領内で戦闘機が活動中であり、それに伴って騒音が観測される恐れがあることを告知した。
画像:X @DowOperSZ
軍司令部による警報ではこう述べられていた:「ポーランド領空内で任務中の航空機が活動しています。そのため、特に南東地域において騒音が生じる恐れがあります」
司令部の投稿では「今晩、ウクライナ領内の目標に対するミサイル攻撃に関連して、ロシア連邦による軍事行動が観測されています」と述べられ、状況を注視しているとも語られた。
『ニューズウィーク』誌によると、今回発令されたスクランブル警報はロシアがウクライナのエネルギー関連施設に対して行ったミサイル攻撃に関連したものだったという。攻撃ではウクライナ西部の複数の都市が目標とされた。
ミサイル攻撃の対象となったのはウクライナのドニプロペトロウシク州、イヴァーノ=フランキーウシク州、リヴィウ州で、ウクライナ政府の発表によると24発のミサイルのうち21発は迎撃に成功したという。さらに、最近この種の攻撃に対してNATO加盟国であるポーランドも懸念を強めている。
ポーランド空軍によると、3月24日に行われたミサイル攻撃ではウクライナ西部を狙った巡航ミサイルがウポーランドに侵入、ポーランド領空を39秒間飛行したという。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が報じている。
ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は同紙にこう語っている:「これがロシアによる挑発的行動であることには疑いの余地がありません。ミサイルが領空に侵入してからウクライナに向かったのは紛れもない挑発です」
また、同紙の取材に応えたあるNATO高官によると、2022年2月にロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して以来、ロシア側のミサイルがポーランド領空へ侵入したことは複数回あるという。ただし、NATO高官はその正確な回数については明かさなかった。
その人物は同紙に「ロシアのミサイルは何度も同盟国の領空を侵犯している」と語っているが、そういった事態は「比較的稀で、多くの場合侵犯する時間も短い」とされている。とはいえ、NATO加盟国の領空を侵犯することは「無責任で潜在的に危険」な行動だとも述べている。
4月26日夜の攻撃に際して、ポーランド軍司令部はロシアによる領空侵犯があったと明言することはなかったが、事態の全容が判明するにつれて適宜情報が開示されていった。
初報に続く投稿では、ウクライナ西部を目標とした攻撃が終結したことを受けてポーランドの戦闘機も「通常の任務活動」に戻ったと述べられていた。
軍司令部はさらに、ウクライナの状況は「現在進行形で」注視しているとコメント。「ポーランド領空の安全を確保するための即応体制」を維持しているとも述べた。事実、その後すぐにポーランド機は他のNATO加盟国機とともに2度目のスクランブル発進を行っている。
3番目の投稿ではこう述べられていた:「ロシア連邦がウクライナ領内の施設に対して長距離航空攻撃を再開したことをうけ、ポーランドおよび同盟国の航空機が活動を開始しました。これに伴い、特に南東部において騒音が生じる恐れがあります」
警戒レベルは徐々に引き下げられ、ロシアによる攻撃の第二波に応じて発進したポーランド機やNATO機も帰還、通常の任務活動に戻った。
『ニューズウィーク』紙のブレンダン・コール記者によると、4月26日に行われた攻撃は「前線から数百キロ離れた地点で起こった。リヴィウ州ではロシアの巡航ミサイルおよ超音速ミサイルが同州の都市ストルイやチェルヴォノフラードの施設に命中した」という。