ウクライナ侵攻を続けるプーチン政権を支える重要人物たち
20年以上にわたってプーチン大統領と深い関わりを持ってきたロシア連邦国防大臣、セルゲイ・ショイグ。大自然を愛する二人はシベリアでともに夏を過ごしたこともあるという。また、2024年の大統領選で次期大統領になる可能性も指摘されている。
政治家として盟友であるだけでなく、個人的にも親友同士の二人は、一緒にハンティングや釣りをする仲だという。
プーチン大統領の支持者の中でもとりわけ重要なのがロシア正教会の長、モスクワ総主教キリル1世だ。プーチン大統領同様、保守的な価値観を持つ彼は性的マイノリティ運動に否定的であるほか、ロシアによるウクライナ併合を支持している。「精神・文化的な伝統を維持、発展させ、人々の調和と安泰に多大な貢献をした」ことで、ロシア政府から聖アンドレイ勲章(ロシア連邦最高勲章)を授与されている。
写真:左からキリル総主教、ウラジーミル・プーチン大統領、ボリス・エリツィン元大統領(1999年)
ロシアの基幹産業の一つ、天然ガスを牛耳るガスプロムのCEO兼取締役会副議長アレクセイ・ミレル。世界の天然ガス生産・供給はこの男の手にあるといってよい。
前大統領も務めたプーチン大統領の腹心、ドミトリー・メドヴェージェフ。2020年1月16日にロシア連邦安全保障会議副議長に就任し、現在もその地位にある。2012年から2020年まではプーチン大統領の下でロシア連邦の首相を務めていた。プーチン政権のナンバー2であると考えられている。
2004年以降、ロシアの外務大臣を務めているセルゲイ・ラブロフ。断固としたプーチン支持者であり、世界各国に同大統領の姿勢を伝えている。
ロシアを世界屈指の大国たらしめている一つの理由は天然ガスと石油だ。そのため、ロシア最大の石油会社、ロスネフチの会長、イーゴリ・セーチンがプーチン政権の重要人物であるのは不思議ではない。政治家ではないものの、プーチン大統領の忠実な支持者であり、政権の一端を担うと考えられている。
ロシア大統領から高い評価を受ける物理学者、ミハイル・コワルチュク。ロシアにおける原子力研究の中心「クルチャトフ研究所」の所長を務めている。彼の研究はロシアにおける技術革新に貢献したとされている。
プーチン大統領のいとこにあたるイーゴリ・プーチンの息子、ロマン・プーチン。様々なビジネスや社会・政治活動に取り組んでいる。
30年近くベラルーシ共和国に君臨し続けているアレクサンドル・ルカシェンコ大統領。プーチン大統領にとって地政学的に重要な親ロシア派政治家であるばかりか、個人的な友人でもあると見られている。
国際政治に共同で取り組むだけでなく、休暇を共に過ごすこともあるウラジーミル・プーチン露大統領とベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領。写真は、ソチのリゾートでスキーを楽しむ両大統領(2019年)
2007年からズベルバンク(ロシア連邦貯蓄銀行)の頭取を務めるゲルマン・グレフ。ロシア連邦経済開発貿易大臣を務めたほか、戦略研究センター所長でもあり、検索エンジン運営会社ヤンデックスの経営陣にも加わっている。
ソ連国歌を作詞したセルゲイ・ミハルコフの息子で、ともに映画監督のニキータ・ミハルコフ(『Dark Eyes』『Burnt by the Sun』)とアンドレイ・コンチャロフスキー(『Siberiada』)の兄弟。彼らの作品から垣間見える政治思想はプーチン大統領と一致している。偉大なロシアの復権を夢見ているのだ。
プーチン大統領とはホッケー愛好家として親交が深い億万長者のアルカディ・ローテンベルクとゲンナジー・ティムチェンコ。一部の西側メディアからは「プーチンのミリオネアクラブ」メンバーであると名指しされている。
チュクチ自治管区知事だったころからプーチン大統領の知り合いで、今ではビリオネアのロマン・アブラモビッチ。二人とも政治に携わっていたが、アブラモビッチは大金持ちになってチェルシーFCオーナーになる道を選んだ。イスラエルとポルトガルにルーツを持つ彼はプーチン大統領と良好な関係にあるとされるが、ウクライナ侵攻に関しては沈黙を貫いている。
親交の深かったトランプ元米大統領とプーチン露大統大統領。プーチン大統との会談を行った当時のトランプ大統領はツイッターでこうコメントした:「ロシアとの良好な関係は悪いことではない。良いことだ。それが分からないのは『バカで間抜けな』奴らだけだ。世界には問題が山積みになっているのだから、これ以上面倒ごとを増やす必要はない。私が大統領になれば、ロシアも我が国を今以上に尊重し、両国で協力しあって、重大かつ緊急の国際問題にあたることができるだろう」現在の危機的状況にあってもトランプ元大統領はプーチン大統の行動をおおむね支持しているようだ。