ウクライナ戦争は今年中に終結する?:ウクライナ諜報部の予測
ウクライナ軍が攻勢を強めつつあるとはいえ、いまだ終わりが見えないウクライナ侵攻。そんな中、戦争終結の時期を予測する動きもでてきたようだ。
戦争終結の時期にあえて言及したのは、ウクライナの諜報部門トップ、キリロ・ブダノフ准将だ。もちろん、ウクライナ側の勝利で戦火が収まるとしている。
写真:Sky News
ブダノフ准将はSky News放送のインタビューに答える形で、2022年内に終戦を迎えるとの見通しを発表。さらに、8月中旬に戦況の「転換点」が訪れ、ロシア軍は撤退し始めるという具体的な予想を行った。実際、ロシア軍は9月以降、苦境に立たされており、後者の予想は的中したようにも見える。
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キリロ・ブダノフ准将はさらに、ウクライナが「ドンバスとクリミア半島を含むすべての領土で主権を回復するだろう」と述べた。
ウクライナでの大規模な戦闘は2022年内にほぼ終結する見込みだというが、小競り合いの可能性は残されている。
また、ブダノフ准将はプーチン露大統領について「8月後半」に辞任するとの見方を示したが、これは実現しなかった。
写真:Sky News
プーチン大統領は、ウクライナ侵攻がもたらす軍事・政治・経済面での負担に加え、健康状態の懸念も抱えている。
ブダノフ准将によれば「(プーチン大統領は)肉体的にも精神的にも追い込まれている。ガンを含む、複数の病気を患っている」というが、どこまでが真実でどこまでがプロパガンダなのか知るのは難しいだろう。
写真:Sky News
一方、ロシア当局はプーチン大統領に関する健康不安説を否定するなど、両国による情報戦の応酬は激しさを増している。
確かなのは、西側諸国による経済制裁はすでにロシア社会に影を落とし始めており、この先さらに大きな影響が出るだろうということだ。それによってプーチン政権は足元を揺さぶられることになるかもしれない。
経済制裁に加え、西側諸国への天然資源の輸出が制限されたことで、ロシア経済は目に見えて弱体化している。ブダノフ准将の予測の背景には、内側から切り崩されつつあるプーチン政権の実情があるのだ。
しかも、ウクライナは各国の支持を取り付けており、西側諸国の指導者たちが団結してプーチン政権の軍事行動を批判するなど、ロシアは国際社会で孤立を深めている。
ブダノフ准将によれば、ウクライナにおけるロシア軍の勝利は、マリウポリのアゾフスタリ製鉄所の制圧が最後になるだろうとしている。
また、ロシア軍については「武器を持った烏合の衆」だと痛烈に批判。
8月にプーチン政権が崩壊するという予測は外れたものの、戦況がウクライナ軍優勢に傾くという見通しは現実のものとなりつつある。果たして2022年内に戦闘は終結するのだろうか?
最近では、苦境に立たされたロシア側から混乱を伝える声も聞こえるようになってきた。一方で、ブダノフ准将の予測はウクライナ側の士気を高め、ロシア軍の戦意をくじくためのプロパガンダという側面も否めない。本当にこの戦争は早期終結に向かうのか、予断を許さない状況だ。