ロシア軍の死者が累計10万人超に:ウクライナからの報告
ロシアのウクライナにおける「特別軍事作戦」は2022年の2月24日に始まった。以来、ウクライナ政府は紛争におけるロシア側の死者の数を集計している。
ウクライナ国防省は毎日ロシア側の死者数を公表、その数値はわかりやすくまとめられている。まるでサッカーの試合でも見ているかのようであり、戦争の恐ろしさを端的に伝えることに成功している。
Twitter: Defence of Ukraine - @DefenceU
では、実際のところウクライナで死亡したロシア兵の数はどれほどなのだろうか。ウクライナ防衛省によると、2023年2月23日現在で14万5,060人の死亡が確認されている。
一方、ロシア側の発表する数字は控えめにいっても曖昧なものだ。ロイター通信によると、昨年9月、国防大臣のセルゲイ・ショイグは6,000人がウクライナで死亡したと発表。以降公式の発表は見当たらない。
米軍の高官筋によると、ロシア兵の被害は10万人を超えておりウクライナ側の被害も同様だという。
ウクライナ政府が日々公表しているのは死亡者数だけではない。ロシアの兵器や装備に与えた損害も報告されている。
Twitter: Defence of Ukraine - @DefenceU
例えば、ウクライナ防衛省の発表によるとロシア軍はこれまで戦車3334両、装甲車6569両、戦闘機299機、艦艇18隻を失っているとされる(2月23日時点)。
そうやって破壊したロシア軍の兵器の多くがウクライナ全土で展示されており、士気の向上に役立っている。
開戦から早くも1年、これらの数字は増える一方で、終わりは見えない。
戦場に打ち捨てられている兵器には、何十億ものドルやユーロ、ルーブルが投入されている。いったいいつまでこんなことが続けられるのだろうか?
アメリカのHIMARS(ハイマース:高機動ロケット砲システム)がウクライナに供与されたことで、戦況は大きくウクライナ側に傾きつつある。
ウクライナ国防相のオレクシー・レズニコウは追加のHIMARSの到着を受けてツイッターで次のように投稿、喜びを表明した。「我が軍はこの武器を的確に運用する能力があると示すことができた」
HIMARSの供与以降、ロシアは戦略の変更を余儀なくされた。上級大将のセルゲイ・スロヴィキンをウクライナ侵攻の総司令官に任命したこともその一環と見られていた。しかし、2023年1月にはそのスロヴィキンも解任され、軍参謀総長のワレリー・ゲラシモフが後任に据えられた。
スロヴィキンが指揮していた時期のロシア軍はインフラの破壊に重点を置いて活動。そのせいでウクライナの一部地域では水や電力、通信が遮断されている。
ただし、地元当局によって発表された公式の数字は常にバイアスにさらされていることを念頭に置いておかねばならない。また、ウクライナ国防省は死者だけではなく戦火に苦しむ被害者の数も公表している。
昨年の夏に、ウクライナ国防省は次のようにツイート。「2月24日以来、少なくとも14万戸の家屋が破壊・損傷された。家を失った国民の数はすでに350万を超している」。以降数字は増えていくばかりだ。
国防省はまた、次のようにもツイートしている。「5ヶ月にわたる大規模戦争によって、ウクライナでは830の医療機関がロシアの脅威にさらされた。破壊・損傷された薬局は500に上り、200両の救急車がダメージを受けた。少なくとも18人の医師が殺害され、43人が負傷した」
戦争の惨禍を広めるために、ウクライナ国防省はロシアによる攻撃の様子に #russiaisaterroriststate というハッシュタグをつけてSNSに投稿している。
ウクライナの大統領、ウォロディミル・ゼレンスキーは、国防省を通じて、できる限り早く戦争を終結させることを要求している。また、大統領は国民にも平和を実現するための協力を呼びかけている。
「時間の価値は計り知れない。毎日人が死んでいっている。自由と真実の防衛のために協力してくれる人が多くなればなるほど、ロシアによるウクライナへの侵攻は早く終わる。常に自由が勝つのだと証明しよう!」と、ゼレンスキー大統領は宣言している。