ウクライナ支援パッケージを可決した米国:バイデン政権はウクライナに何を供与するのか?
4月24日、米国のジョー・バイデン大統領は610億ドルのウクライナ支援パッケージを含む対外支援法案に署名。ウクライナへの武器供与をただちに開始すると述べた。
バイデン政権によれば、新たなウクライナ支援はまず10億ドル分のパッケージがただちに送られることとなっている。米国防総省いわく、このパッケージには「ウクライナにおける緊急性の高いニーズを満たす」ために必要な物資が含まれるとのこと。
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今回の支援パッケージには防空システムや砲弾、対戦車兵器をはじめ、ウクライナが切実に必要とする軍需物資が盛り込まれている。バイデン政権が公開した供与品リストを具体的に見てゆくことにしよう。
米国防総省によれば、ウクライナ軍がロシア軍のドローンに対抗できるように、.50口径(12.7ミリメートル)弾をはじめとする追加の弾薬や小火器が供与されるという。
また、すでに供与済みの高機動ロケット砲システム(HIMARS)に適合する砲弾が補充されるそうだ。このシステムの有用性は戦場ですでに実証されている。
ウクライナ軍が今もっとも必要としているのは砲弾だ。軍事ニュースサイト「Defense One」によれば、ウクライナのオレクシー・レズニコウ元国防相は2023年3月に毎月35万6400発の砲弾が必要だと発表。今回、ウクライナに輸送される砲弾には、成形炸薬弾やDPICM(クラスター弾の1種)などが含まれている。
ウクライナにおける戦況を左右すると見られる105ミリメートル砲弾。米国務省によれば、米国はこのタイプの砲弾80万発あまりに加え、これを発射するためのシステム72基をすでにウクライナに供与済みだという。
米国はこれまでにも60ミリメートル迫撃砲58門と砲弾40万発あまりをウクライナに供与している。
ブラッドレー歩兵戦闘車もまた、ウクライナの戦場で威力を発揮してきた。2024年1月には『フォーブス』誌のデイヴィッド・アックス記者がブラッドレー戦闘車について「ウクライナの戦場で最良の戦闘車」とコメント、ロシア軍の車両に比べて防御力や火力、光学性能が優れているとした。
米国はウクライナ侵攻が勃発して以来、MRAP(耐地雷・待ち伏せ攻撃防護車両)1,000台あまりをウクライナに供与している。
また、ハンヴィー(高機動多用途装輪車両)もこれまでに3,000台あまりがウクライナに送られた。
米国務省の発表によれば、米国がこれまでにウクライナに供与した兵站輸送車両は比較的少なく、わずか20台に留まっているようだ。
写真:Wiki Commons By U.S. Navy photo by USMC Lance Cpl. Christopher, Public Domain
開戦以来、資材運搬車および牽引車は1,000台あまりがウクライナに送られたほか、戦場で自走できなくなった車両を回収するための回収車も131台が供与されている。
製造元のレイセオン社いわく:「地上部隊がTOWミサイルを利用すれば、周囲の環境や状況にかかわらず、敵の装甲車両システムに対して優位に立つことができる」
画像:Wiki Commons By Lance Cpl. Samantha Barajas, Public Domain
CNN放送のブラッド・レンドン記者は2023年2月の記事の中で、ウクライナ侵攻の行方を変えた兵器は3つあるが、そのうち1つはアメリカ製のジャベリンだと指摘。
バイデン大統領が署名した支援パッケージのうち、至急供与される10億ドル分のパッケージには上述の物資に加え、精密誘導兵器や飛行場支援用の装備品、対戦車地雷、クレイモア地雷、障害物を撤去するための爆薬、暗視装置、スペアパーツ、野外装備、訓練用兵器、メンテナンス用品なども含まれている。
今回ご紹介した供与品の数々は戦場でロシア軍に圧倒されつつあるウクライナ軍にとって、大いに役立つはずだ。しかし、これは610億ドル規模の支援プランの第1陣にすぎない。