ウクライナ特殊部隊がドローンでロシア軍ヘリを撃墜?
最近、ウクライナとの国境地帯にあるロシアのクルスク州で、ウクライナ保安庁に所属する特殊部隊「アルファ部隊」がドローンを用いた作戦を行い、飛行中のロシア軍ヘリMi-28を撃墜した。
また、8月6日には作戦の様子を撮影した動画がSNS上で拡散されはじめ、翌日にはウクライナの活動家でユーチューバーでもあるセルヒー・ステルネンコ氏が完全版をTelegram上にアップロードした。
画像:Wiki Commons / Artem Katranzhi, CC BY-SA 2.0
動画はアルファ部隊のドローンがロシア軍のヘリコプターに急接近するところから始まる。どうやら、ドローンオペレータはすでに敵のヘリを発見していたようだ。
画像:Telegram @ssternenko
ロシア軍のMi-28ヘリに接近したドローンは左に方向転換して、飛行を続ける。どうやら、チャンスをうかがっているらしい。
画像:Telegram @ssternenko
その後、シーンが切り替わり、同一のドローンらしきものがターゲットのテールローターに向かって突入する様子が映し出された。
画像:Telegram @ssternenko
『キエフ・インディペンデント』紙によれば、情報筋はロシア軍ヘリの墜落を確信しているそうだ。ただし、同紙はその主張を独自に検証することはできなかったとしている。
画像:Telegram @ssternenko
実際、公開された動画にヘリの墜落シーンは含まれていない。3つめのショットはロシア軍ヘリの上側から作戦の様子を捉えた映像だが、内容は最初の2つと同じだ。
画像:Telegram @ssternenko
それでも、情報筋はウクライナ保安庁が「高いプロ意識と創造力、革新性をもって敵を打ち破った」と称賛。「ウクライナはロシア軍に対する、さらなる不意打ちをたくさん用意している」と付け加えた。
一方、親露派の軍事ブロガー、アレクセイ・ゼムツォフは自身のTelegramチャンネル上で、ロシア軍ヘリが飛行中にドローン攻撃を受け、緊急着陸を余儀なくされたと伝えている。
しかし、ゼムツォフは乗員の安否やヘリコプターの型番を明かしておらず、『ニューズウィーク』誌も「ドローン攻撃によって、このヘリコプターが完全に使用不能になったかどうかは不明」だとしている。
画像:Telegram @ssternenko
とはいえ、『ニューズウィーク』誌のエリー・クック記者は「ウクライナはロシア軍のヘリコプターをはじめとする高価値目標に狙いを定め、ドローンやミサイルを用いて破壊してきた」と書いている。
一方、ウクライナの戦略的コミュニケーションセンター(Stratcom Center)は8月7日、同じ作戦の様子を捉えた別の動画を公開し、「ドローンがヘリコプターに突入したケースとしては、おそらく史上初」とコメントしたそうだ。『ニューズウィーク』誌が伝えている。
さらに、『フォーブス』誌は、7月31日にもドネツク州でロシア軍ヘリに対するドローン攻撃が行われたと報じた。ただし、こちらのケースでは墜落したヘリコプターの画像しか公開されなかった。
画像:X @lost_warinua
その後、8月2日には前出の軍事ブロガー、アレクセイ・ゼムツォフが情報をアップデートし、ドネツク州でのヘリ撃墜はウクライナ軍の地対空ミサイルによるものだと判明した。
一方、はじめに紹介したロシア軍ヘリに対するドローン攻撃は、ウクライナ軍がロシア領のクルスク州に対して突如仕掛けた大規模な逆侵攻の中で発生したものだ。この作戦には数千人規模のウクライナ軍部隊に加え、多数の戦車や装甲車が参加している。
また、『ニューズウィーク』誌はオープンソースインテリジェンスによる情報として、ロシア軍はクルスク州で8月7日に攻撃ヘリKa-52とMi-28をそれぞれ1機ずつ失ったと伝えている。