ウクライナ軍が奇妙なロシア軍車体を撃破:海軍用の兵器を括りつけた装備とは

奇妙な風体をしたロシア軍の車両
兵器の転用はロシア軍のお家芸
RBU-6000「スメルチ-2」
ハルキウでウクライナの陣地を攻撃していた
自爆ドローンが破壊
弾薬は使い尽くしていたか
車体はどの車両のものだったのか?
戦車の車体を利用か
対潜迫撃砲
最大12発のロケット砲を装填可能
BM-21「グラート」に匹敵
今年1月にも確認されていた
多目的トラックに搭載したものも
「フランケンシュタインの怪物」?
最初に確認されたのは2023年9月
窮余の策か斬新な解決法か
奇妙な風体をしたロシア軍の車両

ウクライナ軍が風変わりな戦果を公表した。同軍が撃破したロシア軍の装甲車両には、なんと海軍がつかう艦艇用の兵器がくくりつけられていたのだ。

 

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兵器の転用はロシア軍のお家芸

ロシア軍は以前から、ウクライナでの戦闘に使用するためにさまざまな兵器を装甲車両上部に設置してきた。だが、今回確認されたものは並外れて奇妙なものだった。

画像:X(旧Twitter) @Baterial1

RBU-6000「スメルチ-2」

奇妙な戦果を公表したのはウクライナの第3独立強襲旅団の広報だ。それによると、同旅団がドローンを使って破壊した車両上部に、RBU-6000「スメルチ-2」対潜迫撃砲が備え付けられていたという。

画像:Wiki Commons By Hunini, Own Work, CC BY-SA 4.0

ハルキウでウクライナの陣地を攻撃していた

ウクライナの軍事ニュースサイト「Militarnyi」によると、RBU-6000はハルキウでウクライナの陣地を砲撃するために使われていたという。第3独立強襲旅団のドローンがこれを発見、破壊したとされる。

画像:Telegram @ab3army

自爆ドローンが破壊

同旅団が公表した動画では、ドローンがRBU-6000を搭載した車両に何度か接近し、最終的に自爆攻撃を行っている。動画内ではRBU-6000が破壊されたように見えるが、それまでは実際にロケット弾を発射できていたようだ。

画像:Telegram @ab3army

弾薬は使い尽くしていたか

「Militarnyi」はこう書いている:「(ドローンの攻撃後に)爆発が起こらないことから考えて、この車両は攻撃を受けて炎上する前に弾薬を撃ち尽くしていたようだ」RBU-6000を搭載していたシャーシがどの車両のものかは明らかになっていない。

画像:Telegram @ab3army

車体はどの車両のものだったのか?

「Militarnyi」によると、第3独立強襲旅団の広報はRBU-6000を搭載していた車両はMT-LBだとしているという。だが、同サイトの見解では、動画からは戦車のシャーシと見受けられるとのことだ。

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画像:Wiki Commons By Vitaly V. Kuzmin, CC BY-SA 4.0

戦車の車体を利用か

「Militarnyi」はこう書いている:「車軸が6本あり、排ガスはシステムを通じて横に排気されている。排気部はサーマルカメラではとても明るくなっている。以上のことから、この車体はT-72のもので間違いない」さて、それではRBU-6000「スメルチ-2」とはどのような兵器なのだろうか

対潜迫撃砲

RBU-6000「スメルチ-2」は水上艦艇が搭載する、対潜迫撃砲だ。防衛情報紙『EurAsian Times』によると、もともとはソ連時代、1960年代に開発されたもので、213mmロケット砲を用いて敵の魚雷や潜水艦を攻撃するためのものだという。

画像:Wiki Commons By Brian Burnell / George Hutchinson Own work, CC BY-SA 3.0

最大12発のロケット砲を装填可能

RBU-6000は12発のロケット砲を装填できる。そして、今回公開された動画から確認できるように、ロシア軍はこの兵器を改造して陸上で使用できるようにしたらしい。だが実は、ウクライナ軍がRBU-6000を破壊したのは今回が初めてではない。

画像:Wiki Commons By Hunini, Own Work, CC BY-SA 4.0

BM-21「グラート」に匹敵

「Militarnyi」によると、RBU-6000「スメルチ-2」は弾薬として無誘導のRGB-60 213mmロケット弾を用いているという。同弾の有効射程は5,200mで、ロシアの122mm自走多連装ロケット砲BM-21「グラート」と同程度の威力を持つという。

今年1月にも確認されていた

「Militarnyi」は今年1月に、ロシア軍ではロケット砲が不足しておりT-80戦車の車体にRBU-6000を搭載していると報じている。この報道は軍事ブロガーのアンドリィ・タラセンコが投稿した動画に基づいていた。

画像:Telegram @btvt2019

多目的トラックに搭載したものも

ウクライナ軍は実際に2024年春に同様のシステムを2基破壊しているが、その時RBU-6000を搭載していた車体は多目的トラック「ウラル-4320」だった。

画像:Wiki Commons By Druschba 4, Own Work, CC BY-SA 4.0

「フランケンシュタインの怪物」?

ウクライナの第93独立機械化旅団は自身のテレグラムチャンネルに動画を投稿、次のように説明した:「この、フランケンシュタインの怪物的なロケットランチャーはバフムト地域を走行していたが、ドローンの温かな歓迎を受けて停止した」

画像:Telegram @ssternenko

最初に確認されたのは2023年9月

RBU-6000が最初にウクライナで確認されたのは2023年9月という見解がある。「EurAsian Times」によると、その時はMT-LBがRBU-6000を搭載していたというが、前線で実際に発砲したかは不明とも言われている。

画像:X @ TheDeadDistrict

窮余の策か斬新な解決法か

ロシア軍が海軍用の兵器を陸上用に転用しているのは、必要な装備を潤沢に用意できていないことのあらわれかもしれないが、日々姿を変える現代の戦争に対する斬新な解決法を見いだしたという可能性も残されている。

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