ウクライナ軍が新型自爆ドローンを開発

新型自爆ドローン「Morok」
ウクライナ保安庁が発表
コードネーム「Morok(悪霊)」
1機あたりおよそ750万円?
最も射程距離の長いドローンとなる可能性も
外観も明らかに
特徴的なデザイン
エンテ型のようだがカナードがない
昔の戦闘機によく見られたデザイン
エンテ型の航空機の例
推進型のエンジンを搭載
クリミア半島での攻撃に利用される
長期間の開発が実を結ぶ
費用はボランティアだのみ
購入数を増やすためのクラウドファンディングも行われる
ウクライナ軍の戦い方を変える力を秘める?
新型自爆ドローン「Morok」

ウクライナが新型の自爆ドローンを開発した。航続距離は最大800kmで最大積載量は30kgと、ロシアの懐深くを攻撃する能力があるとされている。この新兵器の情報をチェックしてみよう。

ウクライナ保安庁が発表

新型長距離ドローンの情報が発表されたのは9月9日のこと。ウクライナ軍が行っているクラウドファンディングキャンペーンの一環として発表され、集まった資金を使ってこの新型モデル33機を購入するとされている。

写真:Facebook @SecurSerUkraine

コードネーム「Morok(悪霊)」

ウクライナ軍はこの新型ドローンにMorok(悪霊)というコードネームを付与。保安庁によると、33機の購入費用は総額で6000万フリヴニャ(約2億5000万円)とされている。

1機あたりおよそ750万円?

ウクライナの防衛情報サイト「Defense Express」は発表情報に基づいてMorokのコストを試算、1機あたりの値段をおよそ5万ドル(約750万円)と見積もっている。ただし、同サイトも注意を促しているように、この値段には開発費用も入っている可能性がある。

最も射程距離の長いドローンとなる可能性も

同サイトではMorokの性能について次のように言われている:「Morokはウクライナが保有する武器の中でも最も射程が長いものである可能性がある。ただし、Boberドローンはいまだその最大射程が不明で、1,400kmに達するという説もある」

写真:Instagram @siriy_ua

外観も明らかに

フェイスブックでの投稿ではほかにもいくつかのスペックが公開された。また、ハンガーに格納された状態の写真も添付されており、外観も明らかとなっている。

写真:Instagram @siriy_ua

特徴的なデザイン

「Defense Express」では、公開された写真からMorokのデザインを分析している。それによると、同機は全体的にはエンテ型(主翼の前方に小さな水平翼=カナードを付すタイプ)の設計をしているが、同型の特徴であるカナードを持たず垂直尾翼を備えている点が独特だという。

写真:Wiki Commons: By Peter Gronemann - Flickr: RAF Eurofighter Typhoon, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26504062

エンテ型のようだがカナードがない

同サイトはこう解説している:「機体形状は非常に独特だ。主翼の形状はエンテ型のようだがカナードはなく、垂直にスタビライザーが取り付けられている」また、同サイトによると無尾翼型の設計は「現代的な設計としては比較的珍しい」とされている。

画像:Wiki Commons: By Olivier Cleynen - Own work by Olivier Cleynen (Photo used to layout drawing is licensed as CC-by by Flickr user gravitat-OFF]), CC BY-SA 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25722562

昔の戦闘機によく見られたデザイン

「Defense Express」によると、エンテ型の設計は1960年代から1970年代にかけて、戦闘機でよく見られたという。ただし、フェイスブックに投稿された画像は部分的なものであり、すべての詳細が明らかにされているわけではない点には注意が必要だ。

写真:Wiki Commons: By Alan Wilson - Saab AJS-37 Viggen '37098/ 52' (SE-DXN)Uploaded by High Contrast, CC BY-SA 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27216763

エンテ型の航空機の例

これまでにエンテ型を採用した航空機にはコンコルドやフランスのミラージュ4000、アメリカのSR-71「ブラックバード」、ロシアのTu-144などがある。

写真:SR-71 / Wiki Commons: PhBy USAF / Judson Brohmer - Armstrong Photo Gallery: Home - info - pic, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=30816

推進型のエンジンを搭載

ウクライナ軍事ニュースサイト「Militarnyi」によると、Morokは機体後部に推進式の回転翼を持ち、動力は内燃機関を用いているという。

写真:MQ-9 Reaper/ Wiki Commons: By Lt. Col. Leslie Pratt - commons file, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=68095681

クリミア半島での攻撃に利用される

Morokについて多くは明らかになっていないが、『エコノミスト』紙によると実戦での初使用は8月25日、クリミア半島にあるロシア軍基地を攻撃したときだという。この攻撃にはMorokのプロトタイプが多数投入されたと言われている。

長期間の開発が実を結ぶ

『エコノミスト』紙は次のように述べている:「Morok開発陣に近しいソースによると、今回の新型ドローンは何ヶ月間もかけた開発の成果だという」また、同紙はMorokの開発陣は同機の生産を拡大する意向だとも伝えている。

費用はボランティアだのみ

だが、Morok購入にかかった費用の多くはクラウドファンディングを通じて賄われた。10月10日、ウクライナの政治家セルゲイ・プリトゥラが主催するチャリティ財団がフェイスブックで追加の支援を求めるキャンペーンを行っている。

写真:Facebook @prytulafoundation

購入数を増やすためのクラウドファンディングも行われる

キャンペーンの目標額は約7億5000万円とされ、100機以上のMorokを購入してロシア軍やその後背部を攻撃して反転攻勢を助けることができると言われている。

ウクライナ軍の戦い方を変える力を秘める?

『エコノミスト』紙はMorokについてこう書いている:「高速かつ大きな搭載重量があり、航続距離も長い。固定翼自爆ドローンとしては非常に有望だ」あるいは、ウクライナ軍の戦い方を大きく変える兵器になり得るのかもしれない。

写真:Leleka-100 / Wiki Commons: By VoidWanderer - Own work, CC BY-SA 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=111314381

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