ウクライナ:へルソンでのロシア軍による拷問の実態が明らかに
ウクライナの都市、へルソンがロシアから奪還されてからおよそ三か月が経過し、ロシア軍が占領中に行っていた蛮行の実態も明らかになってきた。
へルソンにいる情報提供者がイギリスのロイター通信にさまざまな事実を告発。世界に対し、ウクライナが避けようとしているのはどういう未来なのか知ってほしいとしている。
ロイターのビデオ・レポートによると、現在までに10の非合法の収容施設が発見された。200人以上が拷問や身体的暴力を受け、他にも400人以上が拘束されていたとされる。
情報提供者によると、へルソンの違法収容施設で拷問された恐れのある被害者のうち、540名もの民間人がいまだ見つかっていないという。
「ウクライナ全土で5万件もの戦争犯罪が報告されていますが、そのうち7,700件がへルソンからのものです」とロイター通信のビデオ・レポートでは報じられている。
ウクライナの戦争犯罪検察官チーフ、アンドリー・コヴァレンコはロイター通信のビデオ・レポートの中で、ロシアの収容施設に拘束されたときに具体的にはどのようなことが起きるのかを説明している。
「もっとも一般的なタイプの拷問は電気ショックです。耳にワイヤーをつないで、水をかけて電気を流します」とコヴァレンコは言う。
「拷問は組織的なもので、占領者が望むことを言わせるために徹底して行われます」また、コヴァレンコによると棒や「木の枝を使って叩くことも行われる」という。
また、コヴァレンコの報告によると、ウクライナ当局はそういった施設でガスマスクも発見したという。ロシア軍が拷問のさいに窒息させるために使っていたとみられるという。
実際、告発者も「窒息させるために使っていたガスマスクも発見しました」と証言している。
ロシア政府は自国の軍人が「特別軍事作戦」の最中に戦争犯罪を犯したことを頑として認めていないが、証拠は積みあがっていくばかりだ。
へルソンは開戦後数週間でロシア軍の支配下におかれた。8か月の占領期間の後、11月にロシア軍は撤退したが、多くの戦争犯罪の証拠を残していった。
11月、へルソン奪還後すぐの時期にウクライナ議会の人権監査官、ドミトロ・リュビネツは次のように語っている:「これほどの規模の[戦争犯罪の証拠]は見たことがありません。恐ろしいほどです」
8か月の占領期間において、ロシア軍による虐待や拷問のうわさはウクライナ当局にも伝わっていた。だが、占領地が奪還されるまで確かな証拠は手に入らなかった。
リュビネツによると、当局はロシア軍による「拷問部屋」を発見したという。ウクライナ国民はそこに連れていかれ、電気ショックや金属パイプによる殴打を受け、「その後、殺された」のだという。
12月、へルソン奪還から数週間後、リュビネツはウクライナ当局がある施設を発見したと報告。そこでは子供たちが収容され、ロシアの治安組織によって拷問されていたという。
リュビネツは語る:「子供たちに対する拷問はいままで記録されたことがありません。ブチャやイルピンですでに最悪の事態を目にしてきたと思っていましたが……それを上回る悲惨な出来事がへルソンでは起きたようです」