エリザベス2世の死因を明らかにした死亡診断書
英スコットランド自治政府の住民記録当局は、9月29日にエリザベス女王の死亡診断書を公表し、死因を「老衰」とした。女王は9月8日に、スコットランドのバルモラル城にて96歳で亡くなっている。
死亡診断書の死因欄には「老衰」とだけ記載され、その他の説明はなかった。昨年、エリザベス女王の夫であるフィリップ殿下が99歳で亡くなられたときに記載された死因と同じものだ。
女王の死を住民記録当局に知らせたのは、女王の長女であるアン王女。死亡した人の職業欄には「女王陛下」と記されていた。
死亡診断書にはエリザベス女王の死亡時刻も記載されていた:午後3時10分。王室が女王の死を正式に発表したのが午後6時半なので、3時間以上も前に亡くなっていたことになる。
王室は9月8日の午後12時32分、エリザベス女王が滞在中のバルモラル城で医師の管理下に置かれたことを明らかにした。まもなく、各メディアが女王の子どもや孫たちがバルモラル城へ急行していると報じた。
当時、チャールズ新国王とカミラ妃、そしてアン王女はスコットランドに滞在していたが、ロンドンに居たウィリアム王子、アンドリュー王子、エドワード王子とソフィー妃はヘリコプターでスコットランドへ駆けつけ、バルモラル城に到着したのは午後5時過ぎだった。
死亡診断書が公表されたことで、女王が亡くなった時そばにいたのはチャールズ現国王とカミラ妃、そしてアン王女だけだったことが判明した。「最後のお別れをした」と報じられていた王子たちは間に合わなかったようだ。
エリザベス女王の在位期間は英国君主として歴代最長。逝去する直前まで献身的に公務をこなしていたが、死去する数か月前から健康状態が懸念されていた。
2022年9月8日、イギリス女王エリザベス2世は96歳でこの世を去った。このニュースは世界中に大きな衝撃を与える。英国政府は10日間喪に服すことを定め、いくつかの国や地域でも同様の取り組みが行われた。
死亡当時、エリザベス女王の死因に関する正式な発表はなかった。9月8日の夜、ソーシャルメディアを通じて次のように発表されただけだ:「女王は本日の午後、バルモラルにて安らかに息を引き取られました」
エリザベス女王は高齢であったにもかかわらず、ほんの数ヶ月前まではかなり元気にしていた。複数の英国メディアによれば、女王に持病はなく、重いインフルエンザ(1993年)、手首の骨折(1994年)、膝の手術(2003年)、胃腸炎(2013年)、重い風邪(2017年)、そして2021年11月に腰の痛みを訴えたのみだという。
エリザベス女王は2021年に夫であるエディンバラ公フィリップ殿下を亡くすと、公の場から遠ざかるようになった。2022年2月には新型コロナウィルスに感染するも、英国王室は「軽い風邪のような症状」としていた。
しかし、BBC放送によれば、女王はインタビューに対し「新型コロナウィルスに感染した後は、とても疲れてぐったりした」と明かしていた。実際に、感染後は杖をついて歩く姿が目撃されていて、体重も通常より減少していた。予定されていたいくつかの行事がキャンセル・延期され、その中にはエリザベス女王の在位70年を記念する「プラチナ・ジュビリー」での礼拝も含まれていた。
エリザベス女王の死は、多くの人を驚かせた。逝去した当日、王室は女王の健康が懸念される状態となり、医師団の監督下に置かれることを伝えてはいたが、危篤状態であることには触れていなかった。
オーストラリアの医師で司会者でもあるジニー・マンスバーグは、TV番組の『7NEWS』でこう推測していた:「女王は最後まで自分の仕事を全うしているので、最期に苦しむことはなかったのではないか。心臓発作や脳卒中が死因の可能性もある」
エリザベス女王は逝去する2日前、リズ・トラス首相を英国の新しい首相に任命した。その際に、右手に青い斑点があらわれていたことに注目する人もいたが、まさか、これが女王最後の公の場になるとは誰も予想していなかった。
オーストラリアのデブ・コーエン=ジョーンズ医師は、この青紫色の斑点は血管疾患のサインかもしれないと『デイリー・メイル』紙に語っていた。
前述のコーエン=ジョーンズ医師によれば、血管疾患は心臓や脳外部の血管を狭めたり塞いだり、痙攣を引き起したりしてしまう恐れがあり、心不全や多臓器不全につながるケースもあるという。
また、夫を失った心痛が死の遠因だと指摘する医師も多かった。ブロークンハート症候群と呼ばれる後天性の心筋疾患で、ストレスや激しい痛みなどをきっかけに、突然左心室が機能不全に陥るという。
前述のオーストラリア人医師は『デイリー・メイル』紙にこう語っていた:「ブロークンハート症候群は単に生きる意欲を失うというだけでなく、実際に人の健康に影響を与える。フィリップ殿下を失ったことが強いストレスとなり、ストレスホルモンであるコルチゾールを上昇させた可能性がある」
エリザベス女王の次男、アンドルー王子をめぐるスキャンダルやヘンリー王子の王室離脱問題も、英国王室のトップに立つ者にとっては大きな試練だったに違いない。
エリザベス女王の棺は、最愛の夫が眠る聖ジョージ礼拝堂に並んで埋葬された。国葬には、ヨーロッパの王室関係者、ジョー・バイデン米大統領やエマニュエル・マクロン仏大統領をはじめとした各国の政治家、日本からは天皇皇后両陛下が参列した。
エリザベス女王の棺は一般公開され、多くの人が列をなして弔意を表した。そして、2022年9月19日、全世界の人々が注目する中、第二次世界大戦以降最大規模となる国葬が粛々と執り行われた。