エリザベス2世の国葬に参列する各国の要人:出席者・欠席者は誰?
CNN放送が英国政府筋の発表として報じたところによると、9月19日月曜日に行われたエリザベス2世の国葬には、世界各国の要人500人以上が弔問に訪れることとなった。
米国からはジョー・バイデン大統領とジル・バイデン夫人がエリザベス2世の葬儀に参加。ホワイトハウスの広報担当者によれば、バッキンガム宮殿から直々に招待されたとのこと。
フランスからはエマニュエル・マクロン大統領がブリジット・マクロン夫人とともにウェストミンスター寺院で行われるエリザベス2世の国葬に参列。また、仏当局によれば、マクロン大統領は新国王チャールズ3世に電話で弔意を表したという。同時に「近年、英仏両国で連携して推進してきた環境保護など、共通の課題に今後も取り組みたい」と伝えたとのこと。
さらに、ドイツのオラフ・ショルツ首相、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領(チャヴシュオール外相が代理出席)、オーストリアのアレクサンダー・ファン・デア・ベレン大統領、ブラジルのジャイール・ボルソナーロ大統領なども招待を受けた。
オーストラリア、カナダ、ニュージーランドからは、それぞれアンソニー・アルバニージー首相、ジャスティン・トルドー首相、ジャシンダ・アーダーン首相が参列することとなった。南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領とスリランカのラニル・ウィクラマシンハ大統領も英王室の招待を受け入れた。
ベルギーからはフィリップ国王とマチルド王妃、日本からは天皇・皇后両陛下が参列。
スペインを代表して参列することとなったのは国王のフェリペ6世とレティシア王妃。さらに、前国王夫妻も招待されたという。
バチカンはポール・ギャラガー大司教を代表として派遣。
多くの要人たちが、70 年間にわたり英国の顔を務めたエリザベス2世に最後の別れを告げに訪れる一方、ウェストミンスター寺院に姿を見せなかった要人たちも少なくない。
新国王チャールズ3世に弔電を送ったことで世界を驚かせたプーチン大統領だが、英王室は納得しなかったようだ。プーチン大統領本人はおろか、ロシア代表の受け入れにも難色を示したという。
ロシア当局は9月9日に行われた記者会見の段階で、ペスコフ報道官が「プーチン大統領がエリザベス2世の葬儀に参列するという予定はない」と述べたことをタス通信がすでに伝えていた。
さらに、ロシア外務省のマリア・ザハロワ報道官によれば、英国外務省から在英ロシア大使館に「大使館関係者を含むロシア代表の招待は控えたい」という通知があったという。
これに対し、ザハロワ報道官は「世界中の人々の悲しみをよそに、女王の死を地政学的戦略に利用し、我が国に対して優位に立とうとする行為はこの上なく不道徳であり、エリザベス2世の思い出を冒涜するものだ」と述べた。
CNN放送は、英国と緊密な外交関係にある国々については国葬に招待されていると解説。しかし、ウクライナ侵攻が始まって以来、英国当局はロシア当局の姿勢を強く非難しており、両国の関係は緊密とは言い難い。
ウクライナ侵攻が原因でエリザベス2世の国葬に招待されなかったのはロシア代表だけではない。この戦争でロシアを支持するベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領もその1人だ。実際、ウクライナ侵攻ではロシア軍がベラルーシから進軍するなど、両国の関係は疑う余地がない。
シリアのアサド大統領も同様に欠席。シリア当局がプーチン大統領を支持していることから、英国政府はシリアとの外交関係を縮小しているためだ。また、アサド政権は自国民に対して化学兵器を使用した疑いで、2017年以降、3度告発されている。
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領はラテンアメリカ諸国の指導者としては唯一、エリザベス2世の葬儀に参列していない。これは、マドゥロ政権と英国の関係が冷え込んでいるためだ。
例えば、西側諸国がベネズエラの暫定大統領として承認したフアン・グアイドをマドゥロ政権が訴追したことを理由に、イングランドとウェールズの高等裁判所はベネズエラ当局が英国の銀行に保有する金準備を凍結している。
アフガニスタンを支配するタリバン政権の代表者は無論、エリザベス2世の葬儀に招待されなかった。2021年8月に政権を奪還したタリバンについて英国は、女性の権利を無視し、反政府勢力を弾圧していると批判を強めていた。
2021年2月、ミャンマー軍がクーデターによってアウンサンスーチー政権を倒し、民衆デモを暴力で弾圧したことから、英国はミャンマーとの外交関係を縮小。以来「民主主義と法の支配の毀損に責任がある関係者」を対象に、さまざまな制裁措置を課して来た。当然、英国がミャンマー代表を招待することはなかった。