オマキザルにお金を渡したら…… 人間と同じような行動に出た
この世からお金がなくなったら、現代社会は立ち行かなくなってしまうでしょう。一方、動物たちがお金を使いだしたら、それはファンタジーの世界です。
ところが、2005年にイェール大学の研究者2人がオマキザル7頭を対象に、お金の基本的な概念を教えるという実験に着手。予期せぬ結果が得られることとなりました。
『ニューヨーク・タイムズ』紙の解説によれば、経済学者のキース・チェン教授と心理学者のローリー・サントス博士は、7頭のオマキザルに小さなコインと引き換えにブドウやリンゴ、フルーツゼリーを買うことを教えたそうです。
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実験はイェール・ニューヘイヴン病院にある、管理の行き届いた広い研究室で実施されました。
もちろん、サルだってそう易々とお金の概念を理解できたわけではありません。チェン教授とサントス博士は食べ物とコインが交換できるとオマキザルたちが気づくまで、根気よく数ヵ月にわたってトレーニングを繰り返したと言います。
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BBC放送によれば、研究者たちはオマキザルがコインと食べ物をさまざまなレートで交換できるよう、仮設の市場を立ち上げたとのこと。
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サルたちが値段の概念を理解できるよう、研究者たちは商品ごとにコインとの交換レートを変えたわけです。
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おどろくべきことに、サルたちはコインを最大限に活用するため、なるべく安い商品を買うという行動を取るようになります。つまり、予算を立てられるようになったということです。
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一方で、ズルい行動も見られるようになりました。研究者が目を離した隙に、転がっているコインを自分のものにしてしまうのです。
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さらに、『ニューヨーク・タイムズ』紙によれば、チェン教授とサントス博士は、サルのグループに非常に初歩的なギャンブルを導入したそうです。
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最初に行われたギャンブルは、まずブドウ1粒をもらい、コインの表裏に応じてもう1粒オマケがもらえるか、もとのままかが決まるというものでした。
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続いてルール変更です。今度は、まずブドウ2粒をもらい、コインの表裏に応じて1粒減らされてしまうか、2粒のままかが決まります。つまり、よく考えれば、先ほどとまったく同じ内容です。ところが……
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オマキザルたちはブドウが1粒減ってしまうという損失のリスクよりも、ブドウが1粒増えるという利益の可能性のほうを好んだと言います。チェン教授いわく、オマキザルは一般的なギャンブラーや投資家たちと同じ思考プロセスに従っているのだそうです。
一方、サルたちが意識的に「貯金」することはありませんでした。しかし、1匹の猿がコイン入りのケースを奪い取ってしまい、研究者たちは食べ物との交換を持ち掛けてコインを取り戻さなくてはならなかったとのこと。
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さらに衝撃的なのは、オマキザルたちが性交渉の代償にコインを支払うというシステムを独自に生み出してしまったことでしょう。
というわけで、サルたちは私たちが思っている以上に人間的だということが判明。あるいは、人間も一皮むけば、かなり動物じみているということなのかもしれませんが……