ウクライナに大規模支援を申し出たオランダ:ドローン装備の拡充を目指す
ロシアによる全面侵攻を受けて以来、ウクライナはドローン製造に非常に力を入れてきた。そのウクライナが、ドローン分野において同盟国からさらなる支援を受けることとなった。
支援を申し出たのはオランダで、ウクライナの空中・海上ドローン開発に対して6,000万ユーロ(約100億円)の援助を行うと発表した。
この情報は6月11日、オランダのカイサ・オロングレン国防大臣が『キーウ・インディペンデント』紙に明かしたものだ。そこでは資金援助の具体的な道筋も示されていた。
国防大臣の発表したプレスリリースによると、資金援助は「国際ドローン連合」を通じて行われ、一人称視点で遠隔操作するタイプに充てられるという。では、この「国際ドローン連合」とはいかなる団体なのだろうか。
『キーウ・ポスト』紙によると、国際ドローン連合はウクライナの無人機装備拡充を目的として2024年1月に結成された団体で、現構成国は14カ国だという。
現在、国際ドローン連合を構成している国はウクライナ、ラトビア、イギリス、オーストラリア、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、ドイツ、イタリア、リトアニア、オランダ、ポーランド、スウェーデンとなっている。
オランダ国防省によると、ウクライナにはさらに、海上ドローン用に1,750万ユーロ(約30億円)が拠出されるという。海上ドローンは、これまでもウクライナにとって非常に有効に機能してきた。
軍事ニュースサイト「Militarnyi」によると、国防大臣のプレスリリースではこう述べられていたという:「海上ドローン(いわゆる無人水上艇)は黒海で順調に戦果を挙げている」
「ウクライナはこの種のドローンを自国で生産することが可能であり、オランダは同地のドローン製造業に対し財政的に貢献しこれを促進するものである」
残った支援金はウクライナがオランダの製造業者からドローンを購入するのに充てられるという。だが、話はこれで終わりではない。
オロングレン国防大臣はこう述べている:「これらのハイテク・イノベーションはオランダ軍の統合運用という観点からも重要なものであり、貴重な戦訓をもたらしてくれる」
2024年4月、オランダはデンマークと共同でのドローン供与計画を発表、総額4億ユーロ(約690億円)相当のドローンがウクライナに渡された。『キーウ・インディペンデント』紙が伝えている。
オランダによる援助は国際ドローン連合が受け取る支援としては過去最大規模となる。だが、国際ドローン連合を通じたウクライナ支援はこれだけではない。
支援が発表される数日前、オランダのクリストフ・ファン・デア・マート国防長官は『ブルームバーグ』にこう語っている:「我々はウクライナ支援のためにドローン製造を指示しようとしているが、それは自国軍のための装備を調達するためでもある」
ファン・デア・マート国防長官はこうも語っていた:「一連の指示によって、ドローン製造網を国内に構築したい」
また、『ブルームバーグ』によると国防長官は、トルコやイランで発展したドローン技術に西側も対抗する必要があるとの認識も示したという。
国防長官は「ウクライナ支援のために連合を結成したのはそれが理由だ」と語り、「直ちに大きな進展が見込まれる」とも付け加えた。