日本の技術が大きく貢献:エジプトのピラミッドで今世紀最大の発見

大ピラミッドで新たな発見
ピラミッドの北側入口
発見された空間
ファイバースコープで撮影に成功
「スキャン・ピラミッド」
非侵襲的・非破壊型の技術
宇宙船ミューオンラジオグラフィ
分析方法
福島第一原子力発電所
3つのうち2つが日本のチーム
各チームの検出方法
「むやみに掘ることは避けたかった」
謎めいた空間
何のための空間か?
大空洞との関係
ギザの大ピラミッド
建設期間は約25年
2017年に発見された巨大な空間
クフ王の謎
さらなる発見を目指して
大ピラミッドで新たな発見

エジプト観光・考古省が、新たな歴史的発見を行ったことを発表した。世界の七不思議の中で最も古いギザの大ピラミッドで、通路のような空間が発見されたのだ。この世紀の大発見には、日本の技術が大きな役割を担ったという。

ピラミッドの北側入口

3月上旬、エジプトの首都カイロ近郊のクフ王のピラミッド前で、エジプトのアフメド・イッサ観光・考古大臣が記者会見し、ピラミッドの北側斜面から中央に向かってのびる通路のような空間が新たに発見されたことを明らかにした。

発見された空間

エジプトの観光・考古大臣の発表によれば、ピラミッド内部で発見された未知の通路は奥行き約9メートル、幅約2メートルあるという。

ファイバースコープで撮影に成功

石と石の間に入り込める直径5mmのファイバースコープを使用して、この空間を壁を損傷することなく写真に撮ることに成功したのだ。その結果、内部に通じる入り口の上部は、切妻型であることも判明した。

「スキャン・ピラミッド」

この謎の空間は、「スキャン・ピラミッド」と呼ばれる国際的な研究プロジェクトによって発見された。2015年からドイツ、フランス、日本、カナダの大学が、エジプトの考古学者と共同で4500年以上前に建てられたピラミッドの内部構造を詳しく調べている。

非侵襲的・非破壊型の技術

スキャン・ピラミッドの使命は、最新の技術で本体を傷つけることなく石の内部をスキャンし、ピラミッドのこれまで知られていなかった内部構造を発見することだ。

宇宙船ミューオンラジオグラフィ

スキャン・ピラミッドの中核を担う技術が、宇宙線ミューオンラジオグラフィだ。X線よりも高い透過力をもつ宇宙線のミューオンを利用することで、従来のX線では見ることのできないピラミッドなど壁の厚い対象物の内部構造を可視化することができる。

分析方法

ミューオンの通過量は、物体の密度や内部構造によって異なる。そのため通り抜けたミューオン粒子の数や軌道を分析することで、物体を傷つけることなく内部構造を反映する画像をつくることが可能になる。

福島第一原子力発電所

この技術は既に日本でも利用されている。東日本大震災で被害を受けた福島第一原子力発電所2号機の原子炉を、透視して画像化することに成功しているのだ。

3つのうち2つが日本のチーム

スキャン・ピラミッドには、宇宙線ミューオンラジオグラフィの検出方法が異なる3つのチームが参加した。そのうちの2つが日本のチームだ。

各チームの検出方法

名古屋大学のチームは原子核乾板と呼ばれるフィルム、KEK(高エネルギー加速器研究機構)チームは放射能が通ると光るプラスチックシンチレーター、フランスのCEA(原子力・代替エネルギー庁)チームはガス検出器を使用した。

「むやみに掘ることは避けたかった」

このような最新技術を使用することによって、壁面を取り壊すことなく未知の空間が発見された。「その奥に空洞があることは2017年の段階ですでに分かっていました。しかし、むやみに掘ることは避けたかったので(......)、新たな測定方法が必要だったのです」このプロジェクトに携わったエンジニアのセバスティアン・プロキュルールが説明した。

謎めいた空間

プロジェクトのリーダーであるドイツ出身のクリスチャン・グローゼ教授はこうコメントした:「ピラミッドの中に何もない空間を発見することは、特別なことです......しかし、この空間が複数の人々を収容できるほどの大きさであることが、さらに重要な意味を持つのです」

何のための空間か?

エジプトの元考古相で有名な考古学者でもあるザヒ・ハワスによれば、この部屋は「何かを守っている」可能性が「非常に高い」という。ハワスはこう続けた:「私の考えでは、この部屋はエジプトの君主クフ王の真の埋葬室を守っているのだと思います」

大空洞との関係

セバスティアン・プロキュルールはより懐疑的な見方をしている:「少し残念だった点は、ファラオの遺体があるとされるピラミッド中心部の大空洞への足がかりとなることを期待していましたが、直接的なつながりは認められなかったことです」


ギザの大ピラミッド

エジプトに数多くあるピラミッドの中で、最も大きいのがギザのピラミッドだ。古代エジプトの第4王朝クフ王の遺体を納めるために、紀元前2551年頃から20年以上の歳月をかけて造られたとされる。14世紀にイングランドのリンカン大聖堂が建てられるまで、世界で最も大きな建造物だった。

建設期間は約25年

あらゆる時代の人々、特に科学者たちを感動させ、魅了し続けてきたピラミッド。謎が多く、今日まで様々なことが未解明となっている。今のところ研究者たちが確信しているのは、25年に満たない比較的短い期間で完成されたということだけだ。

2017年に発見された巨大な空間

スキャン・ピラミッドの研究者たちは、2017年に別の巨大な空間を発見している。セバスティアン・プロキュルールの『Sciences et Avenir』誌のインタビューによれば、「少なくとも長さ35メートル、高さ3メートルほどの空洞」だという。

クフ王の謎

クフ王の墓はいまだ多くの謎を抱えていることで知られ、古代エジプトを治めた王の遺体そのものがまだ発見されていないほか、王家の全財宝がどこかに隠されている可能性もある。

さらなる発見を目指して

ピラミッドの秘密はまだ明かされていない。スキャン・ピラミッドに携わる研究者たちが今後もさまざまな研究を通じてデータをとりだし、新たな発見をしてくれることに期待したい。

 

ほかのおすすめ