北朝鮮軍部隊がクルスク州で実戦に:ウクライナ軍にとって強敵となり得る?

現代の戦場に姿を現わした北朝鮮兵たち
ウクライナ特殊作戦軍の大佐がコメント
「ドローン戦争」に対する理解がない
失敗しても攻撃ルートを変えない北朝鮮兵たち
ロシア軍支給の装備を手放す兵士も
食糧よりも弾薬
ロシア兵の3倍もの弾薬を携行
北朝鮮兵の装備
ロシア製兵器を「近代化」
ウクライナ軍にとって強敵?
戦意の高さと行き届いた訓練
「歩兵中心の部隊」
一部は「砲弾の餌食」に
やみくもに突進する北朝鮮兵たち
捕虜になるくらいなら命を捨てる覚悟
「将軍さま万歳」
北朝鮮軍部隊はどれほどの戦果を挙げているのか?
一時は前線から撤退していたが……
現代の戦場に姿を現わした北朝鮮兵たち

昨年来、北朝鮮が派遣した兵士たちがロシア軍に加勢して、ロシア領のクルスク州で戦闘に参加している北朝鮮軍部隊が現代の戦場に姿を見せるのはこれが始めてのことであり、その実力が徐々に明らかになりつつある。

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ウクライナ特殊作戦軍の大佐がコメント

ウクライナ特殊作戦軍のオレクサンドル・キンドラテンコ大佐は最近、『ニューズウィーク』誌の取材に応じ、クルスク州で任務に当たる北朝鮮兵たちがあまり巧みではないことを暴露した。

 

 

 

「ドローン戦争」に対する理解がない

同大佐いわく、ロシア軍に加勢する北朝鮮兵たちは現代的な「ドローン戦争」をあまりよく理解しておらず、素早く不規則に動くことで上空からの攻撃を避けようとしているそうだ。

 

失敗しても攻撃ルートを変えない北朝鮮兵たち

さらに、同大佐は北朝鮮兵たちについて、「すでに数十人の味方が戦死したルート」を変えようとはせず、執拗に攻撃を続けると指摘。ただし、ロシア軍部隊より機動性に優れているとした。

 

 

ロシア軍支給の装備を手放す兵士も

また、北朝鮮兵の中には、動きやすさを追求するため、ロシア軍から支給された装備品を手放すものもいるそうだ。キンドラテンコ大佐いわく:「ウクライナ軍陣地を攻撃する際には、機敏さを重視してヘルメットや防弾チョッキを着けずに行動する例も見られる」

 

食糧よりも弾薬

ウクライナ軍の捕虜となった北朝鮮兵たちは食料や水をほとんど携えていなかったほか、防寒装備にも事欠いていたようだ。同大佐によれば、北朝鮮兵のバックパックはむしろ、弾薬で満たされていたそうだ。

ロシア兵の3倍もの弾薬を携行

クルスクで戦闘に当たる北朝鮮兵たちはロシア兵の3倍もの弾薬を携行しているとされる。また、手りゅう弾や地雷も支給されているようだが、これについては豊富な持ち合わせがあるのかどうか定かではない。

北朝鮮兵の装備

キンドラテンコ大佐によれば、戦死した北朝鮮兵の遺体はロシア兵よりも「優れた装備を身に着けていることが少なくない」そうだ。また、戦闘の様子を捉えた映像から、北朝鮮軍部隊が「相当数の対戦車擲弾発射器」を持ち込んでいることが判明したとのこと。

ロシア製兵器を「近代化」

同大佐はさらに、北朝鮮軍部隊の装備について興味深い考察を行なっている。同部隊はAK-74のような旧式兵器を携行しているものと思われがちだが、そうではないというのだ。実際には、AK-12をはじめとするロシア軍の標準装備に「近代化」を施して用いているそうだ。

ウクライナ軍にとって強敵?

こういった優れた装備によって、北朝鮮軍部隊がどこまで強化されたのかは不明だ。しかし、北朝鮮兵はウクライナ軍にとって強敵になり得る、と見る向きもある。

戦意の高さと行き届いた訓練

ニュースサイト「ビジネスインサイダー」の報道によれば、ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官はクルスク州に派遣されている北朝鮮軍部隊について、「戦意が高く、訓練が行き届いている」とコメント。米国防総省もこの見解を支持している。

 

「歩兵中心の部隊」

米国防総省のパット・ライダー元報道官は1月13日に行われた記者会見の中で、北朝鮮軍部隊について「比較的訓練が行き届いており、戦闘能力のある部隊だ」と説明。「おもに歩兵中心だが、実力がある」とした。

一部は「砲弾の餌食」に

ウクライナ軍第33独立強襲旅団に所属する第4予備隊のコノヴァル・イーホル・イホロヴィチ司令官によれば、北朝鮮兵の一部は「砲弾の餌食」として浪費されたとのこと。

やみくもに突進する北朝鮮兵たち

同司令官は「ビジネスインサイダー」誌に対し、「北朝鮮兵たちは戦闘の際、まるで第2次世界大戦を扱った映画のように、樹木の間からやみくもに突進してきた」と明かしたが、これは米国のバイデン前政権による見解とも一致するものだ。

 

捕虜になるくらいなら命を捨てる覚悟

また、別のウクライナ軍司令官も北朝鮮兵たちの猪突猛進ぶりについて語っている。たとえば、コールサインで「プルス」と呼ばれるウクライナ軍の司令官はスカイニュース放送に対し、北朝鮮兵たちは捕虜になるくらいなら命を捨てる覚悟があるとした。

「将軍さま万歳」

同司令官によれば、北朝鮮兵たちは生け捕りになるのを嫌がり、一部の兵士は「金正恩将軍さま万歳」と叫んで、自ら命を絶ったとされる。ただし、このような行為が北朝鮮兵の間で一般的なのかどうかについては議論の余地がある。

 

北朝鮮軍部隊はどれほどの戦果を挙げているのか?

北朝鮮軍がクルスク州でどれほどの戦果を挙げているのかは不明だが、ウクライナ軍にとって強敵となり得ることは間違いない。

一時は前線から撤退していたが……

一時はクルスク州の前線から撤退したと報道された北朝鮮軍部隊だが、NHK放送が2月8日に伝えたところによれば、ゼレンスキー大統領は同軍部隊が再投入されたとの見方を示しているとのこと。

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