グリーンランドで起きた9日間にわたる謎の地震:その理由がついに判明
昨年9月、グリーンランドで9日間に渡る地震波が発生した。世界中の科学者がその原因を特定しようと調査に乗り出した。そして、ついにこの奇妙な現象の謎が解明されたそうだ。
地震計は反応したが、通常とは異なりゆっくりと続く振動だったため、警鐘を鳴らす地震学者もいたという。英CNNによるとこうした現象は初めてのことである。
同放送局によると複数の研究者がこの振動の原因を特定しようと調査を重ねた。過去にも似たような波形が観測されたことはあったが、ここまで長く続いたのは初めてだという。
奇妙な振動の原因は、グリーンランドで発生した地すべりによって高さおよそ200メートルにおよぶ巨大津波が引き起こされたことであると研究者たちは結論づけた。
この発見をきっかけに、巨大津波と9日間に渡る地震波の関係性を明らかにする国際的な調査が開始された。
英CNNによると、15カ国から集まった68名もの研究者が1年にわたる調査を実施。地震データを分析し、津波の波形をシミュレーションしたそうだ。
デンマーク・グリーンランド国立地質調査所のクリスティアン・スヴェネヴィグ博士は同放送局に対し、この振動は災害の連鎖によって生じたものだと語った。
全ての始まりは、グリーンランド東部のディクソン・フィヨルドにある巨大な氷河が、北極圏の気温上昇により溶け始めたことだったのである。
山の麓を支えていた氷河が溶けた結果、地滑りが発生し巨大津波に繋がったのだと同放送局は説明している。
地滑りの際、オリンピックサイズのプール1万個分に相当する量の岩石が海に流れ込み、記録上最大級の津波が引き起こされたのである。この波が狭いフィヨルド内で行き来した結果、9日間も振動を発生させることになったという。
固有の周期で水位が振動するこの現象は、セイシュと呼ばれており特に目新しいものではない。しかし今回、フィヨルド内の波は9日間に渡って90秒ごとに揺れ続け、これほど長いセイシュが検出されたのは初めてだった。
前述のスヴェネヴィグ博士は英CNNに対し、以下のように語っている。「セイシュ現象が9日間続く可能性を1年前に指摘したとしても、信じる人はいなかったと思います」
9日間に渡る地震波を引き起こした原因が特定されたことは、大きな成果だと言えるだろう。また、気候変動が今後も地殻に影響を及ぼす可能性が指摘されている。