世界最低のサービス?:北朝鮮のフラッグキャリア「高麗航空」の実態とは
現在就航中の航空会社の中で世界一格付が低いはどこだろうか?その答えは北朝鮮の高麗航空だ。
ただし同社は北朝鮮でもっともレベルの高い航空会社となっている。それは、同国に他の航空会社が存在しないから......
高麗航空は現在、平壌国際空港と北京、マカオ、ウラジオストクはじめ6つの都市を結ぶ、21機の飛行機を所有している。
ただし、公式サイトを見ても本当に運行しているのかどうかは不明瞭だ。というのも、表示されるメッセージはいつも「フライトなし」なのだ。
画像:高麗航空
とはいえ、高麗航空は北朝鮮を訪れる人々にとって主要な交通手段となっている。
高麗航空が設立されたのは1950年代。冷戦時代に最盛期を迎え、中国や東側諸国の主要都市と平壌を結ぶフライトを盛んに運行していた。
旧ソ連の崩壊によって北朝鮮は大打撃を受け、同国のフラッグシップだった高麗航空にも致命的な影響が及ぶこととなった。
高麗航空の所有する機体は旧ソ連製の古いもので、欧州連合(EU)空域内での飛行はもはや許可されていない。
『ビジネスインサイダー』誌が2011年に掲載した記事によれば、高麗航空の所有する機体には1960年代に設計された「イリューシン Il-62 P-885」が含まれているという。
実際、機体点検の際に見つかった不備を解消することができなかったため、高麗航空は2006年3月にEU域内乗り入れ禁止航空会社のリストに追加されてしまった。
結局、同社はヨーロッパへのフライトを継続するため、ロシア製の「ツポレフ Tu-204-300」を 2機導入することとなった。
『ロサンゼルス・タイムズ』紙が2016年に掲載した記事では、高麗航空が「世界最悪の航空会社」という悪名をとるにいたった理由が詳しく説明されている。
同紙は、ウェブサイトSkytraxの航空会社サービス・ランキングで高麗航空が何度も一つ星を付けられていることを報じた。実際、このウェブサイトでも高麗航空は世界一格付けの低い航空会社となっている。
高麗航空を利用した乗客からは、「謎の肉」を使った生暖かいハンバーガーなど機内食に対する不満の声が挙がっているという。
機内エンターテイメントでは、国家を讃える歌やプロパガンダ映画が繰り返し流されるという。
前出のSkytraxは、高麗航空について「現場スタッフのレベルが一定しない、あるいは低いことに加え、評価項目のすべてにおいて質の低いサービスを提供している」というコメントを付けている。
また、高麗航空のスタッフは礼儀正しいがよそよそしいと評価。
いずれにせよ、高麗航空による空の旅が良くも悪くも忘れられない思い出になるのは間違いないだろう。