スーダン内乱:二人の将軍による権力闘争
スーダンでは国軍と準軍事組織が衝突、数百人が死亡し数千人が避難する事態となっている。これについて国連は、地域不安定化につながる可能性があると懸念を示した。
世界保健機関(WHO)によれば、すでに軍事衝突による死者は少なくとも459人、負傷者は4,000人あまりに達した模様。また、CNN放送は首都ハルツームでも一部地域で戦闘が行われていると報じている。
スーダンでは、長年にわたって独裁的な統治を行ってきたオマル・アル=バシール元大統領が2019年に失脚。しかし、2021年には再びクーデターが発生し、軍部が政権を奪取、クーデターを指揮したアブドゥルファッターハ・アブドッラフマーン・ブルハーン将軍が実質的な首長となっていた。
両者はつい最近まで同盟関係にあったが、民政移管の一環としてRSFを国軍に統合する交渉の過程で対立するに至ったという。
ダガロ将軍は2000年代初めにRSF内で主導権を握ったとされる。当時、同将軍はダルフール紛争で人権侵害を繰り返していた民兵組織「ジャンジャウィード」の指導者だった。
一方のブルハーン将軍もまた、軍部のトップとして実質的にスーダンを支配しており、民主化運動の弾圧に関わったとして人権団体から批判されている。
スーダンでは暫定政府を牛耳る軍部が民政移管を拒んでおり、専門家たちによればこの傾向がすぐに変わる兆しはないという。
公式・非公式の統計によれば、スーダンの正規軍はおよそ21~22万人の兵力を擁するとされている。一方、RSFの兵力はおよそ7万人ほどであると見積もられているが、訓練や装備はより充実しているという。
各国がスーダン情勢に懸念を表明する中、国連安全保障理事会は5月8日にこの問題に関する初会合を開いた。
ジョー・バイデン米大統領は「スーダンでは暴力の応酬によって、無辜の市民たちがすでに数百人も犠牲になっている。これは人の道に背くものであり、終結させなくてはならない」と発言。
前出のタウンゼル教授はウェブサイト「The Conversation」上で、「この紛争を取り巻く利害関係は、長い目で見るとブルハーン将軍やダガロ将軍、あるいはスーダンを超えて拡大してしまう可能性がある。つまり、地域一帯の安定までもが脅かされてしまうかもしれないのだ」と解説している。