演説で無知をさらけ出すトランプ元大統領:磁石は濡れたら使えない......?!
独特な発言が物議を醸すことも多いトランプ元大統領。最近では米大統領選に向けたキャンペーンの中で、またもや的外れなコメントをして失笑を買ってしまったようだ。
問題の発言が飛び出たのはアイオワ州でのイベント中のこと。磁石に関するトンデモな認識を披露してしまい、ネット上を中心にあきれる声が広がっている。
トランプ元大統領はそもそも普段から支離滅裂なコメントをしているので、磁石発言の文脈を説明することすら難しい。とにかく、なんらかのきっかけでアメリカの最新空母「ジェラルド・R・フォード」に使われている電磁石式のカタパルトについて持論を展開することになったらしい。
トランプ元大統領はこう話し始めた:「空母の話をしよう。電気式のカタパルトを使っている。蒸気式のほうが100倍安いのに、どういうわけか電気式を使っている。なぜか?」
元大統領はさらに、その米国最新鋭の空母では戦闘機の離陸のための電気式カタパルトに、農業機械に一般的な油圧システムではなく磁石が使われていると説明。
トランプ元大統領はこう続けた:「空母の巨大なエレベーターは速さが命。なのに、初めて磁石を使ってみようということになった。そのせいで、一隻あたり25億ドル(約3700億円)という見積りだったのに結局190億ドル(約2兆8000億円)もかかったうえに、いまだに正常に動作できていない」
元大統領はそのまま同空母の設計担当者を批判、磁石を使った離陸システムがうまく動作していないと述べた。磁石を使ったせいで予算も超過したうえに、想定された要件も満たせていないというのだ。
トランプ元大統領はこう述べている:「考えればすぐにわかる。磁石だ。こんなことは私でも知っている。コップに水を入れて、そこに磁石を落としたら、もうおしまい、磁石は役に立たなくなる」これだけでもかなり驚きの内容だが、元大統領はさらに上をいく発言を繰り出して自ら傷口を広げていった。
「なぜジョン・ディア(アメリカの農業機械メーカー)を使わない? ジョン・ディアの技術者を呼べばよかったのに。ジョン・ディアは好き? 私は大好きだ」こうして、トランプ元大統領は自分が防衛産業について何も知らないということを露呈してしまった。
その後もトランプ元大統領はしばらく様々な暴論を展開していたが、突然聴衆に次のように語りかけたという:「ところで、(生の演説を聞くのは)台本を読み上げるのを聞いてるよりよほど面白いだろう? これぞビジネス、って感じで」『Mediate』が報じている。
アイオワ州の聴衆がどう受け止めたかはともかく、このイベントを報じるニュースのヘッドラインを飾ったのは先述の磁石に関する発言と、それに対するインターネット上での反応だった。
例えば、CNNのホワイトハウス付政治記者のブライアン・カレムはX(旧ツイッター)上でこう述べた:「速報:知らないことだらけのトランプ氏、磁石についてもなにも知らないことが明らかに」
『MediaTouch』の編集長、ロン・フィリプコウスキーもこの騒ぎに参戦:「錯乱状態のトランプ元大統領、磁石に関するデタラメを述べ、ジョン・ディアまで持ち出してアイオワ州の聴衆の歓心を買おうとする。アイオワ州で『ジョン・ディア』という単語を繰り返しすぎたせいで結びついてしまったのだろう。もうめちゃくちゃだ」
なぜトランプ元大統領がジョン・ディアを持ち出したのかについてのこの分析は当を得ていそうだ。2024年の選挙戦シーズンが始まろうとしているいま、農業関係者の多いアイオワ州での人気を得たかったのだろう。
だが、そこはトランプ元大統領のこと。ただ頭の中に浮かんだことを口にしただけなのかもしれない。群衆の前に立っている時のトランプ元大統領がなんでもべらべらと喋ってしまうということは世界中の人が知っている。
最後に、言うまでもないかもしれないが、磁石は水中でも機能するということを指摘しておこう。磁石メーカーの「IPEL International」によると、水はほぼ完全な非磁性体なため磁石は水中でも「空中や真空中と同様に」機能するという。