トランプ大統領、独自SNSでロシアに和平交渉を要求：応じない場合は関税賦課や制裁強化との脅しも

2期目が始まったばかりのトランプ大統領だが、独自SNS「Truth Social」上で怒りの矛先をロシアのプーチン大統領に向けるまで2日とかからなかった。ウクライナ侵攻を終わらせる「ディール」に合意しなければ制裁などの手段を取ると脅したのだ。

トランプ大統領は以前からウクライナ侵攻には批判的だった。選挙中には何度も、もし大統領に就任したら24時間以内に侵攻を終わらせると宣言していた。その約束は果たされることはなかったが、侵攻終結への努力が放棄されたわけではない。

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トランプ大統領が実際にどのような手段を用いて侵攻を終結させようとするのか、という疑問は政治学者や戦争アナリストなどのあいだで終わらない議論を呼び起こしてきた。だが、焦眉の課題に関するこの謎は、今になってようやく明かされつつある。

就任前には、トランプ大統領がウクライナを早々に諦めて降伏を迫ってくるのではないかとも危惧されていた。だが、どうやらプーチン大統領を交渉のテーブルにつけさせるという点については断固たる態度を崩さない姿勢のようで、プーチン大統領が和平交渉を始めない場合に対抗措置を取ると「Truth Social」で宣言した。

トランプ大統領は1月22日、「Truth Social」にこう書いた：「ロシアを傷つけるつもりはない。ロシアの人々を愛しているし、プーチン大統領とは常に良好な関係を保ってきた。極左がつねにロシアと私についての陰謀論を吹聴してきたのにもかかわらず、だ」

「ロシアは第二次世界大戦で、6千万人（ママ）近い犠牲を出しながらわれわれを助けてくれた。これは決して忘れるわけにはいかない。そのうえで、いま経済が崩壊しつつあるロシアに大きな手助けをしてあげようというわけだ。今すぐ合意して、この馬鹿げた戦争を終わらせるんだ」

トランプ大統領はさらに、もしプーチン大統領が「ディール」に合意しなければ、ロシアの状況は悪化の一途をたどるとも述べた。ロシアに関税をかけると脅し、アメリカだけでなく複数の国が参加している制裁についても強化するとしている。

「（ロシアの状況は）悪くなるだけだ。『ディール』に合意しなければ、すぐにでも重い関税や制裁強化を課さざるを得なくなる。ロシアがアメリカに売る物品だけでなく、制裁に参加した他の国への輸出品も影響を受けるだろう」

「この戦争はそもそも私が大統領だったなら始まりさえしなかったものだが、とにかくさっさと終わらせよう。それには楽なやり方と、厳しいやり方がある。いつでも楽な方が好ましいものだ。『ディール』の時間だ。もう誰も死ぬべきではない！！！」

このようなあけすけな物言い、公然たる脅しはトランプ大統領としては目新しいものではないものの、以上のような宣言はただちに世界中でニュースとなった。とはいえ、この言葉が発された場所がSNS「Truth Social」だったというのは、予期できたこととはいえ驚きを呼んだ。

これからの第二次トランプ政権では「Truth Social」を用いた外交はふつうのことになっていくのだろう。とはいえ、ロシアとのあいだで、ともすれば戦争に発展しかねないような繊細な内容についてこのような場で話すのは慎重な態度とは言えない。プーチン大統領が実際に交渉を始めるのか、そしてSNS外交が効果的なのかどうかはこれから明らかになるだろう。

トランプ大統領の投稿でもうひとつ興味深いのは、プーチン大統領が「ディール」に合意しなかった場合に適用するとした関税や制裁強化の具体的内容についてまったく触れていない点だ。『インデペンデント』紙は、ロシア製の物品に課税されるか、制裁対象となるかするのだろうと述べている。

トランプ大統領のSNS投稿では詳細が明かされなかったが、「ブルームバーグ」は1月16日時点で、トランプ政権がプーチン大統領を交渉のテーブルにつかせるために用いるであろう戦略を予想していた。

それによると、まずは「楽なやり方」、具体的には交渉へのインセンティブとしてのロシア産原油に対する制裁緩和などが検討されるという。次が「厳しいやり方」で、これが制裁強化だ。

一方、プーチン大統領は1月20日にトランプ大統領就任に寄せたメッセージの中でこの問題に言及、「地域の全国家、全国民の正当な利益が考慮されたうえでの、長期的な平和」を望んでいるとした。

そのプーチン大統領が「ディール」への呼びかけにどう反応するかはいまだ未知数だ。トランプ大統領はプーチン大統領との電話会談を予定していると述べたが、ロシアのペスコフ報道官は具体的な準備等は一切行われていないとコメントしている。「ポリティコ」が報じている。

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