ロシア協力者がドイツ軍内部で見つかる:欧州で暗躍するロシアのスパイ活動
ドイツ軍に所属していたある人物がロシア政府のスパイだったと告白、機密情報を漏らしていたと語った。独放送局「DW」が伝えた。
紛争には常に陰で暗躍するものがいる。戦争の前線は戦場だけではないのだ。
そのスパイはドイツの都市デュッセルドルフで活動していたという。また、その動機はNATO諸国とロシアの間で核エスカレーションが起こることを懸念したためだったとされている。
DWによると、そのスパイはボンのロシア領事やベルリンのロシア大使に複数回にわたって協力をもちかけたという。
また、補給システムや航空テクノロジーに関する技術資料を含む古い書類の写真も撮影し、ボンのロシア領事館のポストに投函したともされている。
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ただし、同局によるとそのスパイがロシア政府から金銭の支払いを受けたという証拠はないという。
そのスパイはドイツの極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の影響を受けていたと見られる。実際、証言ではTikTokでAfDとつながりのある親ロシア的なインフルエンサーの動画を見たことが活動のきっかけだったと語られている。
ロイター通信も指摘しているように、ドイツ軍はウクライナ支援において重要な役割を担っており、西欧の同盟国として中心的な立場となっている。
ロシアによる全面侵攻開始以来、ドイツはウクライナに多大な支援を行ってきた。さらに言えば、ドイツは軍事力で世界30位以内に位置しており、ヨーロッパではフランスに次ぐ戦力を保有している。
2022年2月にロシアによるウクライナ全面侵攻が始まって以降、ロシアによるさまざまな諜報活動が報告されており、その地域はドイツだけにとどまらず西欧各国に及んでいる。
たとえば、2024年初頭にはドイツ空軍高官の機密性の高い会話がロシアに漏れていたことが報告されている。
BBCによると、ドイツ当局はこれまでに6名の人物をスパイ容疑で逮捕しているという。つながりがあるとされている国はロシアだけでなく、中国も含まれている。
また、同じくBBCによると、一連のスパイ疑惑には現在欧州議会選挙に出馬している極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」の候補者2名の関与も疑われているのだという。
AfD所属の欧州議会議員であるマクシミリアン・クラーは、秘書が中国のスパイ容疑で逮捕されたために苦境に立たされている。
Webメディア「Voice of Europe」はロシアによるプロパガンダを拡散しており、ロシアによるスパイ活動のフロントであると見なされている。また、AfD所属の欧州議会選挙候補者ピョートル・ビストロンはこのメディアから金銭的援助を受けたと指摘されている。
ロシアによるスパイ行為は当局によっていくつも暴かれているが、まだまだ氷山の一角に過ぎないのかもしれない。