ドナルド・トランプのライバル、ニッキー・ヘイリー:共和党候補者レースに出馬表明

トランプ元大統領に挑戦
共和党の救世主か、トランプの二番煎じか?
インド系移民の子
「政府の介入を極端に嫌う」
教育レベルの高い保守派
地元政界との関わり
サウスカロライナ下院選挙
サウスカロライナ州初のインド系代議士
ヒラリー・クリントンの後押し
「ヒラリー・クリントンのおかげ」
州下院議員としての成功
サウスカロライナ州知事選への出馬
南軍旗を撤去
ヘイリーのコメント
辛い思いをしていた人々
トランスジェンダーには反対
国連大使に就任
選挙戦ではトランプ批判
ところが……
議会議事堂襲撃事件以降もトランプ擁護
「政策は素晴らしかった」
積極的な擁護
ヘイリー自身のスタンスは?
代り映えのしない主張
「米国を救い出す」
力強く誇り高く
トランプ元大統領に挑戦

2月14日、ニッキー・ヘイリーは2024年の大統領選に共和党から出馬すると表明、同党のドナルド・トランプ元大統領と候補者の座を争う姿勢を見せた。

 

共和党の救世主か、トランプの二番煎じか?

トランプ後の共和党を復活させる救世主との見方も多いニッキー・ヘイリー。一方で、トランプの二番煎じの野心家に過ぎないとの酷評も聞かれる。では、本当はどのような人物なのだろうか?

インド系移民の子

サウスカロライナ州バンベルクで、インドのパンジャーブ州出身のシク教徒Ajit Singh RandhawaとRaj Kaur Randhawaの娘として誕生したニムラータ・ニッキー・ヘイリー。

 

「政府の介入を極端に嫌う」

『エコノミスト』誌によれば、早熟だったヘイリーは12歳のときから家業の洋服店で帳簿を付ける母を手伝っていたという。同誌は当時のヘイリーについて、「間接費にとてもめざとく、政府の介入を極端に嫌っていた」としている。

教育レベルの高い保守派

ヘイリーは1989年にオレンジバーグ予備校を卒業し、1994年にはクレムソン大学で会計学の学士号を取得した。

地元政界との関わり

廃棄物管理に携わった経験から、地元政界との関わりを持つようになったヘイリー。そして、1998年にはオレンジバーグ郡の商工会議所の役員に就任。

サウスカロライナ下院選挙

2004年、サウスカロライナ州下院選挙に出馬、レキシントン郡第87地区から長年にわたって選出されていたラリー・クーン議員に挑戦した。

サウスカロライナ州初のインド系代議士

決選投票となった予備選挙ではヘイリーが得票率55%でクーンを破り、総選挙ではライバルが現れなかった。これにより、ヘイリーはサウスカロライナ州初となるインド系米国人の代議士となった。

ヒラリー・クリントンの後押し

2024年の大統領選を前にしり込みする共和党員が多い中、ヘイリーを立候補に後押ししたのはヒラリー・クリントンだったという。

「ヒラリー・クリントンのおかげ」

NBCニュースに対し、「私が公職選挙に立候補したのはヒラリー・クリントンのおかげです」と語るヘイリー。いわく:「女性が公職選挙に出馬するというと誰もが水を差すでしょう。しかし、だからこそやらなくてはいけないのです。そう考えて出馬を決めました」

 

州下院議員としての成功

ヘイリーはサウスカロライナ州下院議員として頭角を現し、減税や移民政策の強化、妊娠中絶の制限といった法案を支持。

サウスカロライナ州知事選への出馬

2010年、サウスカロライナ州下院議員から州知事の座を目指したヘイリーは、州知事選の決選投票を得票率51%で制した。

南軍旗を撤去

ヘイリーが全米で知られるようになったのは、2014年に2期目の選出を果たしたころだった。このとき、ヘイリーはサウスカロライナ州議会議事堂から南軍旗を撤去する法案に署名したのだ。

ヘイリーのコメント

CNN放送が2015年に行ったインタビューの中でヘイリーは「重要なのは、その旗が初めから設置されるべきではなかったということだと思います。この場所は市民すべての居場所でなくてはならないのですから」としている。

 

辛い思いをしていた人々

さらに、「私が以前にも増して感じたのは、そばを通り過ぎる人々が辛い思いをしていたということです。これはあってはならないことでした。あの旗にはしかるべき場所があるでしょう…… しかし、サウスカロライナの人々すべてを代表する場にあるべきではないのです」と付け加えた。

 

トランスジェンダーには反対

『ワシントン・ポスト』紙によれば、ヘイリーは2016年に、トランスジェンダーの人々がトイレの利用にあたって性別を選べるようにする法案について、本質的に不要だとして反対の立場をとったという。

国連大使に就任

2017年1月24日、ヘイリーはサウスカロライナ州知事を辞職したが、これはトランプ政権で国連大使を務めるためだった。これによって、米国内におけるヘイリーの名声はますます高まることとなった。

 

選挙戦ではトランプ批判

トランプ元大統領が選挙戦を戦っていたとき、ヘイリーはかなり辛辣な批判を浴びせており、「私たちの党がKKKを否定しないあの男に立ち向かわない限り、批判をやめません。あの人は共和党の一部ではないし、私たちが大統領に推す人物でもありません。この国ではそんなことはあってはならないのです」とまで述べている。

 

 

 

ところが……

しかし、ヘイリーはトランプ政権の国連大使を務めたことで、はた目には偽善的だと映るようになってしまった。しかも『Politico』誌によれば、2018年10月に国連大使の地位を退いた後もトランプ元大統領を支持し続けたのだという。

議会議事堂襲撃事件以降もトランプ擁護

ニッキー・ヘイリーがトランプ元大統領に対する姿勢を変え始めたのは、2021年アメリカ合衆国議会議事堂襲撃事件のときだった。しかし、そのときでさえトランプ元大統領の政策を擁護していた。

「政策は素晴らしかった」

2021年2月には『ウォール・ストリート・ジャーナル』に記事を寄稿、「トランプ氏の主要な政策は素晴らしいものでした。米国を強化し、さらなる安全と繁栄をもたらしてくれたのです。しかし、選挙以後の振る舞いには過ちも多く、歴史の中で厳しく裁かれることになるでしょう」と書いた。

積極的な擁護

さらにヘイリー氏は、「トランプ氏が達成した数々の成果と、ワシントンの腐敗した現状に揺さぶりをかけるという決意を積極的に擁護します」と付け加えている。

ヘイリー自身のスタンスは?

共和党候補の指名争いに出馬することを表明してからというもの、ヘイリーは自分こそ「分断と逸脱」をもたらすことのない新たなビジョンを持った、共和党の救世主だとアピールしている。

代り映えのしない主張

しかし、彼女の言う新たなビジョンを構成するのは、以前から共和党が主張してきた代り映えのしない言説だ。つまり、ヘイリーは派手なメディア露出のないトランプのような人物だと言えよう。

「米国を救い出す」

2月15日には、「私の目標は、社会主義と敗北主義の負のスパイラルから米国を救い出すことです。自由で力強い国家を目指し、米国を引き上げます」とコメント。

 

 

力強く誇り高く

そして「私の思う米国は、力強く誇り高いものです。弱弱しく注文ばかりつける国ではありません」と付け加えたが、あまり変化を求めているようには聞こえない。

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