米国ネバダ州ミード湖:水面低下で相次ぐ遺体発見
2022年にネバダ州を襲った旱魃の影響で湖面低下が止まらないミード湖。しかし、それに伴って遺体発見が相次いでいるようだ。
ミード湖を管理するアメリカ合衆国国立公園局 (NPS)によれば、最後の遺体発見は2022年10月17日だったという。この年に発見された人骨としては6人目にあたる。
ミード湖でダイビングを楽しんでいたアマチュアダイバーがコールヴィル・ベイ・エリアで人骨らしきものを発見。報告を受けたNPSは翌日、現場に専門チームを派遣し、遺体発見を公表した。
クラーク郡の検視官事務所が死因や身元の特定に当たることになるが、今のところ事件性はないとされている。
2022年にミード湖から最初の遺体が発見されたのは5月のこと。以来、人骨の発見が相次いでいた。
ミード湖は、ネバダ州のみならずカリフォルニア州、アリゾナ州、およびメキシコに水を供給する、2500万人の住民と広大な農地のライフラインだ。
この地域の気温は記録的な高さに達しており、積雪量の減少で雪解け水の流入が減り、ミード湖は枯渇の危機に直面している。
アメリカ合衆国開拓局によると、北米最大の人工貯水池ミード湖の水位は、海抜およそ317メートルまで低下しているという。
後退する湖岸の50メートル向こうには、鉱物の堆積によってできた「バスタブリング」が岩壁に現れており、水面がここ数年で数10メートル低下したことは一目瞭然だ。
ミード湖は今、1937 年のフーバーダム建設以来となる、記録的な湖面低下に見舞われている。
ミード湖の記録的な渇水がメディアの注目を集めるようになったきっかけは、5月に遺体の詰まったドラム缶が発見されたことだ。
地元警察はドラム缶内に残された所持品から、このドラム缶は1980年代のものだと推定。
ラスベガス都市圏警察のレイ・スペンサー警部補によれば、遺骨の人物は約40年前に銃殺されたと見られているという。
相次ぐ遺体発見が大きな話題となるのは当然だが、ミード湖の湖面低下で現れたのは人骨だけではない。
ミード湖の停泊所付近で、第二次世界大戦のころの上陸用舟艇「ヒギンズ・ボート」が沈んでいるのが発見されたのだ。
この戦争の遺物はもともと水面下60メートル付近に沈没していたが、今では湖面に姿を現しているという。さらに、拳銃やベビーカー、釣り用具入れ、古いビール缶など、様々な遺物が発見されているようだ。
5月に遺体入りのドラム缶が発見されて以来、マット・ブランチャードやショーン・ローゼンをはじめとするトレジャーハンターが一発当てようとミード湖を訪れるようになった。2人は『ワシントン・ポスト』紙に対し、『宝石が出てくるのではと期待しています。遺体のあるところに宝ありですから』とコメントしている。