名画の贋作ネットワークがイタリアで摘発される:バンクシー、ピカソ、カンディンスキー……
先ごろ、ピカソやアンディ・ウォーホル、バンクシーといった巨匠の絵画を語ったニセモノの作品を制作し、売りさばいていた大規模な贋作ネットワークがイタリア当局に摘発された。
このグループはイタリアにある6ヵ所の工房でニセモノを制作しては、ヨーロッパ中のバイヤーたちに売りつけていたという。
贋作の売却に際しては、イタリア、スペイン、ベルギー、フランスにあるオークションハウスが本物であるという偽りの保証を行い、詐欺に加担していたそうだ。
捜査の過程では、ジョアン・ミロやクリムト、カンディンスキーに至るまで、30名あまりの著名画家による作品を装ったニセモノが2,100点以上も押収されることとなった。
被害額は合計で2億1,500万ドルに達する可能性があり、美術品市場に深刻な影響を及ぼすと見られる。
ピサ検察庁のテレサ・アンジェラ・カメリオ検事長は『ガーディアン』紙に対し、警察当局による捜査が入らなけらば、贋作は「著名画家たちが制作した本物に近い」値段で売却されていた可能性もあるとコメント。
そして、仮にそうなっていれば、「オークション市場が大打撃を受けたことは間違いない」と付け加えた。
捜査のきっかけとなったのは、2023年3月にトスカーナ州ピサにある実業家が所有していたコレクションから、200点にのぼる贋作が発見されたことだった。
これを受け、イタリア当局はヨーロッパ各地にあるオークションハウスのeコマースサイトに探りを入れたのだ。
ロイター通信によれば、すでに容疑者38人が盗品の売買や贋作制作、美術品の違法販売に関わった疑いで逮捕されているとのこと。
画像:Euronewsより(スクリーンショット)
前出のカメリオ検事長は今回の捜査にバンクシー・アーカイブの専門家らが加わったことを明かした。専門家らはこれについて、「バンクシー作品を保護するための最大限の努力」と述べたという。
画像:Euronewsより(スクリーンショット)
バンクシーのエージェントは今回の事件について今のところコメントを出していないが、同氏のウェブサイトは購入者に対し、「高価な贋作」に騙されないよう注意を促している。