ビールを飲んでもいいの?:カタール大会を訪れるときに知っておくべきこと
11月20日に開幕した2022 FIFAワールドカップ。世紀のイベントを観戦しようと、世界中から130万人あまりのサポーターが同国を訪れています。しかし、異文化のカタールを訪問するには、知っておいた方がよいことがいくつかあるのです。
カタールでは社会や国民にイスラム教が深く根付いており、法律や習慣などにもそのことが反映されています。そのため、2020 FIFAワールドカップの開催に向けて、同地を訪れる外国人向けのガイドラインも制定されています。そこで、今回はカタールへ試合観戦に行くサポーターの方のためにお役立ち情報をご紹介しましょう。
さて、カタールでの飲酒は合法なのでしょうか?答えはYesです。同国ではイスラム教徒の飲酒は禁止されていますが、21歳以上の非イスラム教徒については飲酒も認められています。ただし、様々な制限付きです。たとえば、スーツケースや手荷物にお酒を入れてカタール国内に持ち込むことはできません。これは空港の免税店などで購入したお酒であっても同じです。
バドワイザー社が2022 FIFAワールドカップの公式スポンサーになったことで、カタールではW杯期間中に同国を訪れる外国人サポーターがくつろげるようにと、スタジアムや特別エリアでビールを提供する準備を進めていました。
しかし、カタール当局とFIFAはW杯開催直前になって、スタジアムにおけるアルコールの販売禁止を発表したのです。しかし、W杯の組織委員会は「カタール国内にある全スタジアムでノンアルコールビール『バドゼロ』を購入することができます」とコメント。
これについて、バドワイザー側は公式Twitterアカウントで「はた迷惑な話だ」と呟き、すぐに削除。結局、スタジアムでバドワイザーのビールを提供するスタンドはなくなってしまいましたが、特別にアルコールの販売が許可された施設など一部の場所では、カタールの組織員会が設定した時間帯に限りワインやビールの提供が行われるということです。
ところで、W杯のチケットを持っていなくてもカタールに入国することはできるのでしょうか?同国内における宿泊施設の不足から、少なくとも11月1日から12月2日まではW杯チケットを持っていないとカタールを訪れることはできません。ただし、グループステージが終了する12月2日より後ならば、チケットがなくても入国することができます。
Booking.comやAirbnbを使う必要はありません。W杯期間中の宿泊施設はFIFAの公式ホームページで探すことができるのです。ホテルの個室やアパート、ヴィラ、郊外の住宅など、いくつかのタイプが用意されています。
カタールに滞在する上で一番大切な身分証明書が「Hayya Card」です。カタールに入国するにはこのカードが必須なのです。このカードは一種のビザのようなものですが、これを提示することでスタジアムへの入場(もちろんチケットも必要です)や公共交通機関の利用ができるほか、公立病院で診療を受けることもできます。申請はFIFAの公式ウェブサイトを通じて行いましょう。
「Hayya Card」を利用すると、カタールでの滞在期間を2023年1月23日まで延長することができるほか、サウジアラビアのような近隣諸国を訪問することもできます。サウジアラビアは近年、観光客に門戸を開きつつあり、W杯の機会を捉えて中東観光をしようというサポーターを受け入れることにしています。
カタール保険省によれば、Hayya Cardの所持者は入国に際してPCR検査や抗体検査の結果を提示する必要はないとのことです。また、同国内での滞在やスタジアムへの入場についても、予防接種済みでなくてよいとされています。
滞在中に新型コロナウイルスが疑われる症状が出た場合には、すぐに検査を受けなくてはいけません。陽性だった場合には5日間、宿泊施設内に留まり、その後の5日間も屋内外でマスクを着用することになります。
2022年11月1日以降は、旅行者に対する新型コロナウイルス追跡アプリ「Etheraz」への登録義務が解除されています。ただし、このアプリはカタール国内の公立・民間の医療施設で診療を受ける際に役立つかもしれません。
スタジアムや公共交通機関については、マスク着用は必須ではありません。ただし、病院をはじめとする医療施設内ではマスク着用が義務付けられています。
カタールでは婚外交渉が禁止されており、最長7 年の懲役が科せられる恐れがあります。ただし、組織委員会は大会期間中に来場者が婚姻状況を尋ねられることはない、と保証しています。妊娠中の方もカタール滞在中に思わぬ事態に見舞われたら、ためらわずに医療機関に足を運んでください。
しかし、米国をはじめ一部の国々の大使館は妊娠中の女性について、カタール滞在中に診療が必要になった場合にそなえて婚姻証明書を持参するよう勧めています。
カタール国内で同性愛は違法だとされています。しかし、FIFAの組織委員会は「誰でも歓迎する」と断言し、友人同士や未婚のカップルが同じ個室に宿泊するのを制限したりすることはないと述べました。とはいえ、同性愛・異性愛にかかわらず、公の場で露骨に親密さをアピールするのはご法度です。
組織委員会でヘルスケアを担当するユセフ・アル=マスラマニ広報官は、ドーハで開催された記者会見で次のように述べています:「人々に婚姻状況やジェンダー、国籍、宗教を尋ねることはありません。そういった個人的な事柄ではなく、健康状態に関する質問がなされるだけです」
11月から12月にかけての最高気温は24℃程度と過ごしやすい気温です。夏の間の酷暑とはうってかわった心地よさなので、ご安心を。
サウジアラビアとは異なり、カタールでは女性に対するヒジャブ(髪を覆うベール)の着用義務はありません。とはいえ、カタール滞在中は同地の文化を尊重し、公共の場や車内では控えめな服装を心掛けるほか、肩と膝が隠れるような長めの服を着用するようにしましょう。地方当局によって不適切だと見なされるような恰好をしていると、施設によっては入れてもらえないこともあります。
2014年以降、カタールでは電子タバコの使用が禁止されています。違反すると最大1万カタール・リヤル (およそ2,800ドル) の罰金または禁錮刑が科される恐れがあります。