プーチン大統領が新国王チャールズ3世に寄せた弔電とは
英女王エリザベス2世の逝去にあたり、プーチン露大統領はイギリス、つまり新国王チャールズ 3 世に向けて弔電を送った。
9月8日(木)にプーチン大統領からバッキンガム宮殿宛てにに送られた弔電には、意外に思えるほど丁寧な弔意がつづられていた。
ロシアからの弔電には、「故エリザベス2世は尊敬を一身に集める立派な指導者でした」と述べられていた。
そしてプーチン大統領はチャールズ3世新国王に対し、「陛下、エリザベス2世女王のご逝去に深い哀悼の意を捧げます」とつづっている。
さらにプーチン大統領は、「現代英国史における主要な出来事は、すべて女王陛下の存在と緊密に結び付いていました」として女王に深い敬意を捧げた。
ロシアの元首はエリザベス2世が人々に愛されていたことにも言及し、「何十年もの間、エリザベス2世は君主として臣民から愛情と尊敬を受け、国際舞台では威信を発揮していました」と振り返る。
英国の新国王を祝福し、プーチン大統領は「大きな喪失を前にした陛下に勇気と忍耐をお祈り申し上げます」としている。
そしてロシアからの弔電は「王室の方々と英国国民の皆様に対し、心からの哀悼と支援の言葉を申し上げます」と締めくくられている。
英女王エリザベス2世とプーチン大統領は、長い年月を通じて数回しか会っていない。だが、女王がプーチンに鮮やかな印象を残したことは確かなようだ。
エリザベス2世はプーチン大統領についてどんな印象を持っていたのだろう。2003年、プーチン大統領が女王陛下を14分も待たせるという失態を犯したと複数のメディアが報じている。英女王が、一介の指導者のこのような不謹慎な行為を許すはずはないとも思われる......
また、プーチン大領に対するチャールズ新国王の反応にも注目が集まる。新国王は2014年に、プーチン大統領をヒトラーと比較したとされているのだから。
CNNを始めとする複数の報道機関によれば、チャールズ新国王のこうした発言はカナダのホロコースト博物館のボランティアとの会話の中でなされたという。
報道によれば、新国王チャールズ3世(当時は皇太子)は、「今やプーチン大統領はヒトラーと同じようなことをしている」として、ロシアのクリミア併合に言及したという。なお、この会話は公式に確認されたものではない。
英国は、現在進行している戦争でウクライナを積極的に支援している国の一つである。そのことを考えれば、プーチン大統領の心遣いは驚くべきものだったといえよう。
英国は侵攻が始まってからというもの、ウクライナに対し数億ポンドにのぼる支援を行ってきた。
英国はロシアに厳しい経済制裁を行い、それに対しプーチン大統領はエネルギー政策で報復を行ってきた。
さらに、エリザベス女王が亡くなる直前に任命したリズ・トラス新首相について、ロシアとしては露英関係が改善されるとは思っていないと述べていた。
ロシアのタス通信によれば、クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官は、「外相あるいは首相候補のときにトラス氏が行った我が国に関する発言を考えれば、今後両国の関係に改善が見られないことはきわめて明らかだ」と述べたという。とはいうものの、プーチン大統領からイギリス新国王に示された哀悼の意はかなり丁重なものだった。