プーチン政権はいつまで持ちこたえるのだろう?
ここ一年の国際情勢をみて多くの人が考えるのは、プーチン政権がいつまで続くのかということだろう。諜報・安全保障分野専門のコンサルタント会社「Dragonfly」の予測によれば、プーチン政権はあと2年持ちこたえる可能性があるという。
Dragonfly社の予測は『デイリー・ミラー』紙や『ザ・サン』紙が出版する報告書上で公表された。おもな結論の一つは、2月24日のウクライナ侵攻開始によってプーチン大統領は政治生命のリスクを冒すことになったというものだ。
Dragonfly社の諜報アナリストは、多くの人々が戦争には至らないと思い込んでいたころから、プーチン大統領が「特別軍事行動」を実行に移すと予測していた。
また、西側諸国の経済制裁によってロシアで金融危機が生じるような事態になれば、プーチン政権は2年以内に崩壊すると予測している。
『ザ・サン』紙の報道によれば、Dragonfly社は「プーチン大統領が今後2年以内に失脚する可能性は極めて高い」としている。
Dragonfly社は、ウクライナ侵攻がプーチン大統領を取り巻く有力者たちにとって「迷惑な」ものになってしまった、と指摘している。
ロシアによるウクライナ侵攻が始まると、欧州連合(EU)および米国は一体となってロシアを経済的に封じるための措置を素早く実行した。
この制裁措置によって、プーチン大統領の主な支持層となっている裕福なロシア人たちは経済的な打撃を受け始めている。
Dragonfly社はプーチン大統領の盟友として6人の名前を挙げている。全員オリガルヒや政府高官だが、プーチン大統領の政治生命が危ういと見れば、離反する可能性もあるという。
プーチン大統領にとって何としても繋ぎ止めなくてはならない重要人物は次の6人だ:セルゲイ・ナルイシキン(対外情報庁長官)、セルゲイ・ショイグ(国防大臣:写真)、アレクサンドル・ボルトニコフ(ロシア連邦保安庁副長官)、ニコライ・パトルシェフ(ロシア連邦安全保障会議書記)、セルゲイ・チェメゾフ(国営企業ロステックCEO)、イーゴリ・セーチン(石油会社ロスネフチ会長)。
仮にプーチン大統領が失脚することになったとしても、それは軍事クーデターによる力づくの政権交代劇ではなさそうだという。
Dragonfly社の予測によれば「スーツの似合わない男たちがクレムリンに出入りするのが見られるようになるはずだ。その後、プーチン大統領は病気や家族の事情などで辞任するという発表がなされるだろう」。
実際『デイリー・ミラー』紙によると、プーチン大統領の精神的・身体的な健康状態についてはすでに憶測が流れているようだ。
プーチン大統領個人のセキュリティシステムおよびロシアの権力体制は、病気や個人的理由による大統領引退を促すことになるかもしれない。
Dragonfly社はまた、ウクライナ侵攻が長期化したことで、プーチン大統領をサポートする政治家や軍人たちの間で大統領に対する信頼感が失われたと指摘している。すでにロシア軍は多数の兵士や指揮官を失っているためだ。
Dragonfly社の予測はウクライナ侵攻開始の時と同様に現実のものとなるだろうか?それとも、プーチン政権を弱体化するための西側諸国によるプロパガンダの一環に過ぎないのだろうか?
1999年以来、政権を握り続けるプーチン大統領を失脚させるのは容易ではないはずだ。2年間というタイムリミットは反プーチン派による楽観的な見方に過ぎないかもしれない。とはいえ、いつか終焉が訪れるのは確かだ。