メキシコ:工事現場からコロンブス以前のピラミッドが見つかる
ピラミッドが発見されたのはメキシコ中部のイダルゴ州パチュカとウェフトラを結ぶ高速道路の延長工事でのこと。昨年12月にメキシコ国立人類学歴史研究所(INAH)が出した発表では、道路工事を行っていたチームが2024年6月に発見したという。見つかった遺跡は近隣の町の名前から「サン・ミゲル遺跡」と呼ばれることになった。
研究者によると、この遺跡はメツティトランの領主によって建てられた可能性があるという。メツティトランはメキシコにヨーロッパ人が渡来したころにあった国で、古典期後期(650-950年)から後古典期(1350-1519年)にかけて存在したという。
『Archaeology News』誌によると出土したピラミッドは「第一構造物」と呼ばれており、少なくとも10の小さな塚を含む全5部から形成されているという。考古学者による発掘の結果、貝殻や陶器、石器など155の遺物が発見されたほか、石灰の混ざった土壌や木炭、炭化材なども発見された。
画像: INAH
国立人類学歴史研究所はこう発表している:「今回の発見はメツティトラン渓谷地帯における人間活動について貴重な情報をもたらすものです。この地域における人間による構造物は1万4,000年前にまで遡るとされています」
この発見を受けて、国立人類学歴史研究所はドローンを用いた写真測量を実施、遺跡の情報を可能な限り正確に保存した。
その後、遺跡保護のために全長43メートルの壁を建築、再び埋まってしまわないようにした。「出土した構造物などが埋まらないように、ジオテキスタイルが活用された」と『Araeology News』は伝えている。
この地域で活動していた文明についてより深く知るためには、さらなる発掘が欠かせない。「この地域で先コロンブス期文明の遺跡が見つかったのは初めてです。非常に重要な発見で、歴史的文脈をより良く知るためにもさらなる研究が不可欠です」と、イダルゴの町サン・アグスティン・メツキティトランの観光部長エクトル・ラブラ・チャベス氏は語っている。
だが、こういった考古学的責務につきものなのが財政的問題だ。国立人類学歴史研究所は抜本的な予算削減を公表したばかりで、2025年には前年比で45%のカットが予定されている。そのせいでこの遺跡のさらなる調査についても先行きは不透明となっている。画像は2018年から2024年までメキシコ文化局長官を務めたアレハンドラ・フラウスト・ゲレロ氏。
とはいえ専門家らは、ここから新たな文化的遺産や歴史的遺物が見つかるという希望を失ってはいない。続報に期待しよう。
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