プーチン政権、米国の掲げるウクライナ和平案について「検討する用意あり」
ドナルド・トランプ次期米大統領が掲げるウクライナ和平案について、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官がコメントを行い、プーチン政権は検討する用意があると述べた。ロシア国営RIAノーボスチ通信が報じた。
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『ニューズウィーク』誌によれば、RIAノーボスチ通信は12月11日に、同外務次官の言葉として「ロシアにはウクライナに関するトランプ氏の提案を検討する用意がある。ただし、検討とはただちに同意を意味するものではない」というコメントを伝えたそうだ。
リャブコフ外務次官のコメントは、トランプ氏が自身の運営するSNS「Truth Social」上で12月8日に公開した投稿を受けてなされたものだった。
画像:Truth Social @realDonaldTrump
トランプ氏いわく:「ゼレンスキー氏とウクライナは和平合意によって、この狂乱を終わらせたいと望んでいる。同国は40万人もの兵士に加え、さらに多くの民間人を無為に失ってしまった。即時停戦し、和平交渉に取りかかるべきだ」
同氏はさらに、「あまりにも多くの命が無為に失われ、あまりにも多くの家庭が破壊されてしまった。このままでは、事態はもっと大規模かつひどい状況に陥りかねない。私はウラジーミルをよく知っている。今こそ彼が行動を起こす番だ。中国も手を差し伸べるかもしれない。世界は(プーチン氏の行動を)待ち望んでいる!」とした。
一方、『ニューズウィーク』誌は、トランプ氏がゼレンスキー大統領およびマクロン仏大統領との会談後に発したコメントを伝えた。この会談はパリのノートルダム大聖堂の再開式に合わせて行われたものだ。
ゼレンスキー大統領とマクロン大統領がトランプ氏に語った内容は明かされていない。しかし、トランプ氏は『ニューヨーク・ポスト』紙に対し、ゼレンスキー大統領は停戦に意欲的であり、プーチン大統領も和平案を検討していると発言している。
ゼレンスキー大統領は11月29日にスカイニュース放送が行ったインタビューの中で、ウクライナ領の中でもロシア軍に占領されていない地域がNATOによる安全保障を受けることができるならば、ロシアとの停戦合意もあり得るとの立場を示していた。
ただし、ニュースサイト「Euractiv」によれば、ゼレンスキー大統領は和平とは単なる紙切れではなく、ロシアからウクライナを守る方法が確立された場合にのみ達成され得るものだと述べ、トランプ氏の和平案にクギを指したとのこと。
ゼレンスキー大統領はX投稿を通じて、「ロシアとの実際的な和平について語るならば、その前提として平和維持のための効果的な保障について語らなくてはなりません。ウクライナは誰よりも和平を望んでいます」と主張したのだ。
同大統領はさらに、「戦争における現実とはそういうものです。紙切れと署名だけで終戦というわけにはいかないのです。安全保障なしの停戦では、いつ戦闘が再開されるかわかりません。実際、プーチン大統領には前科があります」とした。
一方、プーチン大統領に近い大物実業家のコンスタンチン・マロフェーエフ氏は12月2日、ニュースメディア「ブルームバーグ」に対し、プーチン政権はトランプ氏の和平案を蹴るかもしれないと明かした。同氏によれば、ロシアがトランプ次期政権と合意に至る可能性は五分五分とのこと。
マロフェーエフ氏いわく:「米国の次期政権は、ロシアにとって停戦が好ましい贈り物ではないことを理解しなくてはなりません。むしろ米国側が提案しているのであって、こちらは色々と諦めることになってしまうでしょう」
マロフェーエフ氏はさらに、「現時点で、停戦はウクライナと米国にとって朗報でしょうが、我が国にとっては一文の得にもなりません。なぜなら、我が国は勝っているからです」と言葉を続けている。しかも、12月4日時点で、ロシアがトランプ次期大統領やその側近たちから和平の可能性について打診されたという情報はない。
実際、ロシアのリャブコフ外務次官がCNN放送に対して述べたところによれば、ロシアは「トランプ氏の側近が公表した内容」と、同氏が選挙期間中に掲げた24時間以内の停戦というモットー以外には何も知らされていないそうだ。
『ニューズウィーク』誌によれば、リャブコフ氏は「トランプ氏は有権者を惹きつけるために24時間という表現を使ったのでしょうが、たとえ24年間かけても解決できない紛争があるのは中東を見れば明らかです」と述べたそうだ。
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